海没の赤灯台引き揚げ

海没の赤灯台引き揚げ

クレーン付き台船で引き揚げられ約4か月ぶりに姿を現した名瀬港西防波堤灯台

二つに分割された灯台は奄美市名瀬大熊漁港に移送され、第十管区海上保安本部職員が目視で調査した

4か月ぶりに陸上に
第十管区海保、9月までに新設

 第十管区海上保安本部は5日、昨年9月から海没していた奄美市名瀬港の西防波堤灯台の引き揚げ作業を行った。市民から親しまれた「赤灯台」は2つに分かれ、藻が付着するなど変わり果てた姿で、約4か月ぶりに陸上に揚げられた。同灯台は今後、産業廃棄物として処理され、9月までに新たな灯台が新設されるという。

 灯台は高さ8㍍(基礎、避雷針除く)、直径2・2㍍の強化プラスチック(FRP)製で、重さは4㌧。設置は1989年。昨年9月末に接近した台風24号の暴風・高波により倒壊した。後の調査で灯台の基礎とコンクリートを固定するステンレス製のボルトが腐食していたことがわかっていた。

 同年10月14日に、倒壊位置から北30㍍、西250㍍の水深13㍍の海底に沈んでいるのが発見された。1月24日に行われた引き揚げの事前調査では、位置は変わらなかったものの、下部5㍍、上部3㍍に分かれていることが判明。同保安本部企画課・岩本大樹課長補佐は「海に落ちた際に上部と下部を留めていたボルトが緩み、波の力で取れたと思われる」と推察した。

 この日は午前9時ごろからクレーン付き台船(200㌧釣り)を使用。港湾建設業者の作業員と海底のダイバーが協力し作業を実施。帯状のロープで固定し、それぞれ引き揚げされた。その後、同市名瀬の大熊漁港に移送。同保安本部職員が基礎コンクリートと灯台の接合部分などを目視で確認し、ボルト腐食の原因等を調査するなどした。

 岩本課長補佐は「引き揚げが無事終了し、ほっとした。原因について究明し、再発防止に努めたい。今は小さな仮灯がついているが、入港時は十分に注意し、船舶事故のないようにしてほしい」と話した。