『奄美群島の魚類図鑑』出版

図鑑を手に出版を報告する本村さん

1321種網羅
編者・本村さん「生態解明足掛かりに」

 5年の歳月をかけて奄美群島に生息する魚を調べ1冊の図鑑にまとめた『奄美群島の魚類図鑑』(南日本新聞開発センター発行)がこのほど出版された。編者は、鹿児島大学総合研究博物館館長で大学教授の本村浩之さんら4人。1300種超の収蔵内容に本村さんは「集大成と言える内容で学術的価値は高い。今後は、生態解明への足掛かりにもなる」と出来栄えを喜んだ。

 編集は、2013年ごろから本格的に始まり、奄美群島有人8島で調査し、魚の採取には各島200人ほどが協力。34人が執筆に加わる豪華布陣で、奄美に棲む魚の種を追求した。

 図鑑では、写真3370点・1321種類の魚を科目別に収録。和名と学名で索引でき、各頁では、サイズや産地、種名の特定に役立つ解説なども記載している。

 写真では、幼魚から成魚、雌雄をできる限り網羅。奄美固有種のホシレンコやアマミホシゾラフグ、深海魚も掲載されるなど、マニアも納得できる仕上がりとなっている。

 本村さんは「魚には分類学と生態学があり、ようやく奄美群島での分類を終えたと実感」と胸を撫でおろした様子で感想を述べ、「多くの人が手に取り、地域の豊かさを感じてほしい」と話した。

 同伴した鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室特任助教でニゲミズチンアナゴの発見者でもある藤井琢磨さんは「奄美の魚の生態にはまだまだ謎は多いが、進化の形には意味がある。図鑑を手に魚の暮らしぶりを想像しながら楽しんでみては」と同書を薦めた。

 今後本村さんは、群島内の全小中高校へ、本の寄贈も計画中だ。

 本はA4版上製本のオールカラーで3500円(税抜き)、全438㌻。県内書店やアマゾンで購入できる。問い合わせは、同センター電話099―225―6854まで。