喜界に恩返しコン

愛弟子の福島さんとの共演で会場を沸かせた朝崎さん(写真左)

朝崎さん、長年培った歌声で魅了
愛弟子との共演も

 奄美大島南部で歌われる島唄「ヒギャ唄」の第一人者とされる、唄者の朝崎郁恵さん(83)は23日、喜界町湾の同町体育館で「コンサート~喜界島への恩返し~」(同実行委員会主催)を開いた。喜界島にルーツを持つことから、朝崎さんは「これまで唄わせてもらった先祖とこの島に恩返しがしたかった。その願いがようやく実現できた」と感謝を述べ、世界から称賛された歌声で来場者を魅了した。

 瀬戸内町加計呂麻島出身。10代から活動し、国内外で公演。著名音楽家やミュージシャンとの競演も多数。喜界島は祖母マツ、父辰恕のゆかりの地。自身のもう一つのルーツと位置づけ、感謝の気持ちを込める無料公演を果たした。

 会場に用意した750席は満席。青色基調の照明で幻想的なステージに、朝崎さんは綾蝶=あやはぶら=の衣装をまとい、チヂンを手に現れると場内から多くの拍手が送られた。

 「朝顔」「朝花」「いきゃびき」を唄い、トークを交えながら、島内外から駆けつけたゲストと共演。第二部から白い衣装に変え、「渡しゃ」など数曲を披露。また愛弟子の福島京子さんとの「よいすら節」のほか、「千鳥浜」では沖縄舞踊家・時本ひとみさんの舞いが曲を盛り上げ。最後は会場全員での「六調」、アンコール曲「ふるさと」を唄って幕を閉じた。

 この日は、朝崎さんの出演映画「神の唄・第一章」も上映。あいさつに立った渡辺真也監督は「映画を通じてシマ唄を世界に発信したい」と述べた。

 70年以上の唄活動を振り返り、朝崎さんは「世界中の人にシマ唄を聴いてもらった。喜界でもこれから、もっとシマ唄を楽しんでもらえたら」と感無量に語った。