ティラピアなど外来魚大量発生も確認

捕獲地にワナを仕掛ける奄美海洋生物研究会(新大美橋下)=提供写真


捕獲したナイルティラピア(同、昨年8月31日)=提供写真

奄美海洋生物研 水生移入生物調査を報告

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、河川に生息する外来種などを調査した「2018年度水生移入生物分布調査及び駆除事業」の報告書をまとめた。龍郷町の大美川では鑑賞・飼育用の外来魚であるナイルティラピアやグリーンソードテールなどの繁殖や大量発生を確認。奄美市の新住用川ダムではコイの再生産も示唆した。興会長は「奄美はどの河川にも多くの希少種が生息している。(根絶に向けては)ペットは責任を持って飼育し放流しないで」と呼び掛けている。

 事業は、5市町村で構成する奄美大島自然保護協議会から委託を受け実施。今年度は、7月26日~11月30日の期間、奄美市住用川、同川内川、龍郷町大美川、宇検村川内川の4水系の河川で調査した。

 駆除数は、新住用川ダムでコイ4匹、役勝川ではスッポン2匹。大美川ではナイルティラピア16匹にコイ2匹、中勝川では、スッポン10匹、アカミミガメ2匹を捕獲し、宇検村ではコイ10匹を駆除した。

 同研究会は「大美川はナイルティラピアの繁殖地となり、上流ではグリーンソードテールが大発生している」と報告。「在来種の生息場所を奪う可能性もあり、継続した駆除が必要」とした。

 コイについては「住用川のコイは一時期根絶に向かったが、同ダム内では再度、大小のコイを確認」と再繁殖を指摘。ダムは深さがあり状況の把握が難しいことから「コイは食性が幅広く生態系の脅威となる。集中的な対策・駆除を」と述べた。

 またスッポンなどの淡水ガメ類については「繁殖力が強く様々な環境で生息できるため、分布域を広げる恐れもある」とし、「リュウキュウアユの卵の捕食なども考えられる。奄美大島全体での捕獲を」と訴えた。

 この他興会長は、目撃情報集積の必要性も指摘しており「見かけた際は、最寄りの役場などに情報提供を」と呼び掛けている。