サトウキビほ場に観測機

スマート農業プロジェクトの一環で気象観測機を設置(写真は徳之島町花徳)=提供写真=

徳之島でモデル実証 農業スマート化へ
鹿大産学・地域共創センター データ利活用推進

 国立大学法人・鹿児島大学はこのほど、IoT(モノのインターネット)など最先端技術を駆使した農業のスマート化を見据え、「徳之島農業プロジェクト」をスタートさせた。すでに島内3町のサトウキビほ場に気象観測機材(フィールドサーバー)と役場内に管理システムを設置。2021年度までの4年間、気象データを集積し、生産者や関係機関による利活用を進める。同大学は「サトウキビを含め、島内農政全般の振興につなげたい」とプロジェクトの展開に期待する。

 同大学は地域の課題解決に取り組む産学官の連携を推進しようと、 18年度に「産学・地域共創センター」を立ち上げた。南九州・南西諸島域の課題解消と社会還元を図る事業方針が文部科学省の「国立大学法人機能強化促進費事業」に採択された。

 同プロジェクトは学校外でのオープン実証ラボの一環。IoTを取り入れた農業の高度化を目指す実証地として、サトウキビ生産の高齢化や人手不足を抱える徳之島を選択したという。

 今年2月に設置したフィールドサーバーは、徳之島町花徳、天城町西阿木名、伊仙町上面縄の圃場にあり、気温や湿度、日照量など生育環境データを定時観測する。また人工衛星の画像解析と合わせ、取得した気象データは役場内の専用パソコンを通じて地元行政、サトウキビ生産関係者が自由に閲覧できる。

 同センターは今後のデータ蓄積により、▽全島データから収穫量予測▽作付面積、収穫のリアルタイムな把握▽畑地かんがい水の効果検証―などの利活用を掲げ、生産者や製糖工場、行政が連携した管理体制を構築させたい考えだ。

 同センターの担当者は「地域と積極的に関わりながらプロジェクトを進めたい」とし、データ共有による農業振興への貢献に期待感を示した。