新時代あまみ~ウナグ輝くまちづくり=下=

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女性たちの雇用・交流を支える「きゅら島カフェ」(オープン当初の??年8月5日、川井さんは前列右から3番目)

「一丸ならなんだってできる」
雇用・交流支える地女連の会員たち

「チームせとうち〝我が事・丸ごと〟支え愛事業」の影響があってか瀬戸内町では女性の活躍があちらこちらに見える。なかでも多くの女性が携わるのが、「きゅら島カフェ」に関する事業だ。同町古仁屋で昨年6月に供用開始となった「町きゅら島交流館」のロビーに同年8月にオープンした。メニューの考案、調理、接客などをすべて町内の女性たちがこなし、今では欠かせない憩いの場になりつつある。

カフェを運営するのは同町地域女性団体連絡協議会(会員約400人)の会員たち。同地女連会長の川井黎子さんは「一人じゃ何もできない。みんなが一丸となればなんだってできる」と女性たちが集まって作り上げてきたこの約7か月を振り返る。

 ◇仕事探しの間口広く

カフェの設置は同館の供用開始時から、人が集まる空間づくりの一環として決定していた。町側からの運営委託の打診があった際、川井さんは「女性活躍のチャンス」と信じたという。一方で感じた「断ったら『地女連の活動はここまでか』と思われてしまうのでは」という思いも後押しし、引き受けた。

中心となって同カフェの運営に取り組むのは地女連役員の14人だが、最近では活動に「入れてほしい」という一般会員も多く、実際に会への入会もあったという。週1回からでも働くことができるため、アルバイト感覚で主婦が手伝う姿も。「今までになかった形で、余暇を楽しんでもらえているのでは」と川井さんは笑った。

2年前に同町に移住してきた主婦もそうして1週間に1~2回、店番を担当する。主婦は「ここで働いてから、顔見知りが増え、いろんな話が聞ける。お菓子作りなどの活動っぷりを見せてもらうのも楽しい」。地域にどんどんと溶け込みながら働き、カウンターの向こう側で談笑しつつ笑顔を見せた。

「仕事を探していても良い仕事にありつけないこともある。少しでも間口を広くしたかった」。働く場としてのきゅら島カフェの意義を川井さんは話す。昨年12月の本格オープン以降はカウンターの横に物販コーナーも用意。趣味で作っていたものが少しでもお金になればという思いからだ。会員手作りのハンドメイド作品や、農産物などが並び、女性らしい〝かわいらしさ〟も見え隠れする。

 ◇表舞台で活躍を

日曜定休の店が多い中、同町で土日も営業する同店には、地域の高齢者らが集まるサロン活動、公民館講座などの〝ついでに〟訪れる人も多い。「お年寄りが家を出て、お茶を飲める場所になっている」と川井さん。女性が和気あいあいと運営する同店は、最近では「一人でも入りやすい」と人気という。

ドリンクセットに付く、お菓子は日替わりで提供されるが、同館の調理室で従業員らが手作りする。30~60歳代の幅広い年齢層の女性が働く同店だからこそ、昔ながらの奄美の郷土菓子から、季節に合わせたお菓子までバリエーションが豊か。従業員間でレシピを教え合う場にもなっている。

女性の結束力、行動力、気配りが生かされる企画も行われた。2月から同館ロビーに50体近いひな人形が並ぶ。華やかな様子に男女問わず地域住民らが、カフェ店員らに声を掛ける様子が見られる。「季節の行事に合わせイベントを」という地女連の企画は成功のようだ。

持ち寄られたひな人形が館内をにぎわす様子は、会員女性のネットワークのたまものだ。「行政だけでは手が回らないところも地女連ならできる」(川井さん)。利用者と従業員、また利用者同士・従業員同士、さまざまな方向での交流の場となっている。

「これまでは女性がいくら頑張っても男性の方が上のように感じていた。ここで頑張れば女性も表舞台で活躍することができる気がする」と川井さん。同店のこれからについては、「自分たちが頑張れば、地域が活性化する。もっとお年寄りに立ち寄ってもらえるようにしたい。観光バスの休憩地点として使ってもらえれば」と意欲を語った。
    (西田元気)