奄美最古「隆帯文土器」出土

天城町「下原洞穴遺跡」出土、奄美最古の「隆帯文土器」
第3次発掘調査中の「下原洞穴遺跡」=15日午後、天城町西阿木名

天城町「「下原洞穴遺跡」
1万3、4千年前 土器文化、日本列島と同一か

 【徳之島】天城町教育委員会は15日、2016年3月に着手し現在第3次発掘調査中の重要遺跡「下原=したばる=洞穴遺跡」(同町西阿木名)から、奄美群島最古となる「隆帯文(りゅうたいもん)土器」(1万3千~1万4千年前)が出土したと発表した。同時期の生活跡(放射性炭素年代測定1万3820年前)も奄美初。「土器文化の始まりが、日本列島と大差ないことが分かる」と強調した。17日午後2時から現場説明会を開く。

 「下原洞穴遺跡」は西阿木名集落の県道から西(海岸)方向に約1㌔、小字名「加万答=かまんとう=」にある琉球石灰岩層の洞穴。同町教委は、鹿児島女子短期大学の竹中正巳教授らの調査協力で16年3月から発掘調査を開始。約4千~6千年前相当の住居・生活活動・埋葬などを示す複合遺跡。17年の第2次調査までには新たに磨製石鏃(ぞく)作成など奄美群島初の「石器製作所跡」を示す道具がセットで出土。また、当時すでに「再葬」が存在した可能性も示す石囲い埋葬墓の人骨3体なども確認している。第3次発掘は2月3日に始まった。

 土器関係では第2層から南島爪形文土器(約7千年前)。第3層(地下約1㍍)からは五条の「波状条線文土器」。そして第4層(同約1・2㍍)から型式不明の土器とともに、九州最古で奄美の「隆帯文土器」(5点)が前回調査までに出土。採取層の炭化物(生活痕跡)による年代測定結果を待った結果、「約1万3820年前」と判明、年代も整合した。

 同町教委の具志堅亮学芸員(35)は、「旧石器時代の調査や最古の土器を探求調査が行われている沖縄と同様、波状条線文土器が出土。さらにその下層からは九州島の草創期の代表的な土器である隆帯文土器が出土。土器文化の始まりがよりさかのぼり、日本列島と大差ないことが分かった」。さらに下層(第6層・約2㍍)からは「旧石器時代の石器の発見も期待できる」とした。

 現場を訪れていた甲元眞之・熊本大名誉教授(75)は、「一般的には移動を繰り返すが、ここ一帯だけは人が長年住み続けている。洞穴の前には湿地帯もあり、花粉の分析や魚骨などを含め調査が進めば、当時の人の生活が具体的に分かる。日本列島的に見ても重要遺跡で、将来は国指定遺跡で保存し、長期的に調査を進めて欲しい」と期待した。

 17日の現地説明会への参加希望者は、午後2時までに同町西阿木名小中学校集合となっている。