佐仁小一人の卒業式

一年間頼れるリーダーを務めた金城くん(右から5人目)を囲んで校歌を歌う佐仁小児童たち

くろうさぎ留学・金城くん
新たな旅立ちに決意「頼れるリーダー担った」

 県内各地の公立小学校で22日、卒業式が行われた。県大島教育事務所によると奄美群島内での小学校卒業生は1072人(男555人、女517人)=2月26日調べ=。卒業生たちは、慣れ親しんだ6年間の学校生活を思い出に刻み、新たな旅立ちに決意を誓った。

 奄美市笠利町の佐仁小学校(古園伸一郎校長、10人)では、唯一の6年生・金城篤哉くんの卒業式が同校体育館で行われた。在校生や保護者、集落住民らが駆け付けるなか、祝福や感謝の言葉があふれた。

 金城くんは、奄美市の小規模校離島留学支援事業「奄美くろうさぎ留学」を利用し、一年間限定で同校に在学。一昨年、同校に6年生が不在になることから、同集落在住の祖父母・橋口高助さんに古園校長が打診し、金城くんが「いい経験になれば」と留学を決めた。

 在学中は、伯母・金城清子さんと同集落で暮らしながら通学。文武ともに優秀で、集落の踊りや太鼓練習にも積極的に参加するなど、古園校長は「責任感も強く後輩を引っ張り、頼れるリーダーを担ってくれた」とその存在感を称えた。

 この日は、母・光代さんらも来島し見守るなか、花道を勇ましく入場。卒業証書を受け取った金城くんは「中学校では陸上部で練習を頑張り、(みんなに届くように)名をとどろかせたい」と決意を誓った。

 在校生からは「篤哉さんのような6年生になりたい」「憧れの存在だった」「みんなをまとめてくれてありがとう」などお礼や感謝の雨あられ。全児童、一列に並び、声を詰まらせながら最後の校歌を斉唱した。

 「希望と勇気を持ち立派な中学生になります。ありがとう。さようなら佐仁小」と金城くん。短くても大きく成長した学び舎に別れを告げた。

 4月からは、鹿児島市の自宅に戻り、校区の星峯中学校に通う。