徳之島コーヒー生産支援PJ

春のコーヒー豆収穫祭で味の素AGF㈱の品田社長(手前)、生産者会の吉玉会長、丸紅㈱の梶原部長=伊仙町

電動式コーヒーパルパ(果肉分離機)稼働披露も

苗生産・供給態勢拡大へ
味の素AGFや生産者会

 【徳之島】「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を推進している味の素AGF㈱(本社・東京都、品田英明代表取締役)や同提携の徳之島コーヒー生産者会(吉玉誠一会長)など合同の「2019年春のコーヒー豆収穫祭」が22日、伊仙町であった。同社が新たに提供したコーヒー豆加工施設・機器の稼働もお披露目。台風に強い品種の普及拡大による産地化に不退転の決意を確認した。

 国産の「ジャパニーズコーヒー」ブランドづくりを模索する食品大手の味の素AGF㈱。国内産地の伊仙町をリサーチし、適地品種も模索協力している総合商社丸紅㈱(本社・東京都)。徳之島コーヒー栽培歴約37年の吉玉会長(74)など生産者会(約30人)。伊仙町当局を含む官民4者間で2017年6月に事業協定。同町伊仙(吉玉会長宅)に育苗ハウスを設置し耐風性品種の普及を推進。AGFの社員研修用も兼ねたコーヒー園(約100本定植)も設置して年4回・約10人ずつ派遣するなど2年目。

 AGFはこのほど新たに同育苗ハウスの横に、コーヒー豆加工場(木造約25平方㍍)を建設。収穫直後のコーヒーチェリーの果肉と種を分離させる電動式「コーヒーパルパ」と、コーヒー豆脱穀機も導入して提供。従来の手動式パルパの処理能力は1時間約30㌔、一気に10倍以上にアップさせた。

 収穫祭には生産者会会員や育苗に関心を示す福祉施設の関係者などを含め約60人が町内外から参加。大久保明伊仙町長は「国産コーヒーづくりの話題が全国に広がった。経験に裏付けされた農家が粘り強く、台風に耐えうる対策を」。吉玉会長も「台風などどんな災害があろうと、やることをやっておれば必ずいつかは物になる」とアピール。

 丸紅の梶原和幸飲料原料部長は「(台風常襲の)徳之島の環境でしっかりと根を張って耐えるコーヒーの種を世界中から見つけ出す」。有望なブラジルとコスタリカ原産の2品種が届くことも示した。

 AGFの品田代表取締役はあいさつで「プロジェクトは、徳之島がコーヒー・アイランドとして日本の方々に楽しんでいただけるよう大きな夢を持ってスタート。生産者の仲間があと100人ぐらいは増えて欲しい」。

 インタビューに「今後は、世界中から風や病気に強い品種を集め、生産者の皆さんに試してもらう段階」。島内4カ所に新たな育苗施設を追加設置し、5施設で年間3千本~4千本の供給態勢を構築。最大の課題「台風を前提」に産地化を進める決意を示した。