文化庁長官表彰を受賞

文化庁長官表彰を受賞した与論民俗村の菊千代さん(左)と息子の秀史さん(右)=与論町=

ユンヌフトゥバの記録・継承に尽力
与論民俗村

 【沖永良部】文化庁はこのほど、2018年度文化庁長官表彰の受賞者を発表し、与論町の私設民俗資料館「与論民俗村」が選ばれた。
永年にわたり消滅の危機にある与論方言(ユンヌフトゥバ)の記録や継承等に尽力し、先進的な取り組みが全国のモデルケースとなっていることが評価された。県内からは唯一の受賞。

 与論民俗村は、1966年に同町在住の菊千代さん(92)が設立。島の生活文化を後世に残そうと茅葺屋根の古民家や昔ながらの民具などを展示しながら、方言の伝承活動を行っている。現在は、菊さんの息子の秀史さん(61)と運営している。

 方言伝承の取り組みとしては、約1万5000語の方言をまとめた「与論方言辞典」(菊千代・高橋俊三著)の出版や日常会話用のテキスト「与論の言葉を話そう」全4巻(菊秀史著)の制作のほか、町内各小学校で方言教室を実施している。新年度からは、18歳以上を対象にした方言教室(会場、与論民俗村)も開講する。

 秀史さんは「昔から使っていた道具が無くなれば、言葉が無くなり、文化が無くなっていく。その危機感から母が作ったのが民俗村だった。続けてきた活動が認められてうれしい。将来は全島民が標準語と方言を話すバイリンガルの島を目指したい」と語った。

 文化庁長官表彰は、文化振興や国際交流などに貢献した人を表彰する制度で、18年度は86人と3団体を選定。表彰式は3月18日に文部科学省で行われた。