軽快に「田植え歌」こだま

軽快に「田植え歌」こだま

井之川夏目踊り保存会員の「田植え歌」にのせた田植え作業=13日午前、徳之島町井之川

徳之島町井之川の水田 井之川夏目踊り保存会

 【徳之島】徳之島町「井之川夏目踊り保存会」(保和廣会長)主催の田植え体験作業が13日、同集落唯一の水田であった。同夏目踊り=県指定無形民俗文化財=の伝承に取り組む神之嶺小と井之川中の児童生徒や職員、保護者、住民ら約50人が参加。伝統歌謡「田植え歌」の実演に励まされながら「祖先の心」にふれた。

 井之川集落の一大伝統行事「浜下(う)り」で、夜を徹して各戸を訪問する「夏目踊り」の基層にある稲作儀礼。しかし、1970年台の減反政策もあって水田は消滅。7年前、「伝統行事は稲作体験抜きには語れない。島の祭りは古来、稲作儀礼とともにあった」と保存会が奮起。「フンジュリ田袋」跡の一画に体験用水田(約6㌃)を復活して取り組んでいる。

 子どもたちは、島の最高峰「井之川岳」由来の冷たい湧水を引き込んだ田んぼに足を踏み入れて大はしゃぎ。大人たちの手ほどきで、軽快な田植え歌にも励まされながら田植え作業を体験。神之嶺小児童の一人・中江こころさん(5年生)は「田植えは初めて。収穫したお米でお餅をついて食べるのが楽しみ」とにっこり。

 夏目踊り保存会の町田進氏(71)=町文化財保護審議会長=は「子どもたちには主食(米)の作り方も知って、田植え歌も継承して欲しいと思う。祖先の思いを語り継いで良いものは残す。我々の時代に絶やしては申し訳ない。こうした〝場〟を作ってあげるのも大人の役割だと思う」。

 勤労体験後は、昔ながらの豚汁とオニギリ昼食会の〝畦道交流〟でもふれあいを深めた。7月20日ごろ収穫して12月に餅つき大会を開いて食農一貫体験。お餅の一部は4年生の「二分の一成人式」にも使用するという。