黒糖焼酎用の米育てる

黒糖焼酎用の米育てる

田植えを楽しむ渡酒造の社員と家族ら

渡酒造社員、龍郷町秋名で田植え
黒糖もすべて奄美産でブランド化へ

 地元産の原料を使った黒糖焼酎づくりに取り組む、奄美市名瀬小浜町の渡酒造の社員や家族ら約15人が14日、龍郷町秋名の水田で、田植えを楽しんだ。同社は2017年から同町で収穫した米を黒糖焼酎用の米麹に使用しており、黒糖を含め奄美大島で生産した原料にこだわった焼酎生産とブランド化を目指している。

 同町で休耕田の解消と稲作の継承活動に取り組む「秋幾農業創成塾」の協力で、毎年行っている社員参加の田植えも、今年で3回目。この日は渡慶彦社長(57)と社員、家族らが参加。同塾の龍宮省三塾長の指導を受けながら、1列に並び10㌢ほどの苗を丁寧に1本ずつ植えていった。家族と参加した笠利小3年、大山仁奈さん(8)は「田んぼの中はぬるっとしていて気持ち良かった。焼酎は飲めないけど、おいしいお米に育ってほしい」と笑顔で話した。

 同塾は休耕田など約85㌃でコシヒカリを栽培しており、今年は約3㌧の収穫を見込んでいる。同酒造では、うち約750㌔を焼酎原料として利用することにしている。順調に育てば、7月下旬ごろには収穫され、来年1月に始まる黒糖焼酎の仕込みに使われる。

 原料の黒糖も宇検村の契約農家などで栽培されたサトウキビを使用している。一昨年、昨年に仕込んだ焼酎は現在、タンクで熟成中。3年以上熟成させると「長期熟成」の付加価値をつけた販売もできる。

 販売開始の時期などは未定だが、渡社長は「小さな蔵なのでいろんなことにチャレンジしようと、原料も奄美産にこだわって作っている。風味豊かな焼酎に仕上がりつつあり、商品化できる日を楽しみにしている」と話した。

 塾長の龍宮省三さんは「昨年は天候も良く、いい米ができた。今年も、いい米が提供できるよう丹精込めて育てたい。自分たちが作った米を使った焼酎も早く味わいたい」と話し、渡社長も「みんなに喜ばれるようなおいしい焼酎に仕上げたい」と話した。