徳之島クリーンセンター問題

ごみ処理施設の老朽化で、「焼却飛灰」ダイオキシン類の基準超が明らかになった住民説明会=17日夜、伊仙町西目手久公民館


徳之島愛ランドクリーンセンター(伊仙町西目手久)

焼却飛灰「ダイオキシン」が基準値超
住民説明会 「生ごみ分別」も緊急課題

 【徳之島】徳之島愛ランド広域連合(高岡秀規連合長)の「徳之島愛ランドクリーンセンター」(伊仙町西目手久)に関する第3回住民説明会が18日夜あった。同センター施設整備基本構想策定検討委員会の中間報告の一つ「3町持ち回り申し合わせ尊重」案に、天城、徳之島両町長は、地元集落や伊仙町合意形成推進協議会の考えを尊重する姿勢を示した。焼却飛灰のダイオキシン類の基準超問題に専門家は「一刻も早い生ごみ分別が必要」と指摘した。

 同3町の同ごみ焼却施設は2003年3月に完成(総事業費約61億9千万円)。耐用年数の「15年」区切りの各町持ち回り設置」から16年が経過。学識経験者や3町住民代表などで同施設整備基本構想策定検討委(委員長・小原幸三鹿児島大名誉教授、委員13人)を昨年設置し、現施設の長寿命化や資源ごみリサイクル化、移転か現在地維持か―などを検討。中間報告(先月20日)では、新施設の建設候補地に関し「3町持ち回り申し合わせ」を尊重、当該自治体の受け入れ意思の確認(回答期限6月末)も求めていた。

 一方、西目手久地区(美山保区長)側も住民との合意形成の観点から、同中間報告を基に連合側に対し、①各町の受け入れ意思の確認②各種測定データ公表③西目手久地区との話し合いによる現施設の期限付き継続使用の合意形成、伊仙町当局の意思の確認―などを求めていた。

 西目手久公民館での説明会には住民35人や正副連合長(3町長)ら事務局関係者合わせ約50人が参加。美山区長は「西目手久には(反対運動)裁判までして設置され16年。(現在地)継続するのか、しないのか、きちっとした対応を」。大久保明伊仙町長(副連合長)は「新施設を造る時間(10年以上)やコストの問題で判断したい。その前提は住民の健康と安全。老朽化で時間的猶予はない。何よりも重要なことはダイオキシン問題。生ごみの堆肥化など新た仕組みを作る事がベストと思う」。現在地継続を支持する形で、同町合意形成推進協(7月設置予定)の協議にも委ねる方針を示した。

 新施設「持ち回り申し合わせ尊重」の中間報告に関し、森田弘光天城町長(副連合長)は「文書はないが、次は天城町と受け止めた。しかし6月末までの返事は、高いハードルのボールを投げられたと認識」。伊仙町の合意形成推進協の答申も見極め、高岡徳之島町長と双方で「真剣に考えようと確認した」に止めた。

 西目手久地区が求めた有害物質などの法定測定値(年1回調査)では、現施設(一般廃棄物焼却炉)焼却飛灰から基準値(3ナノ㌘=ng?TEQ/g)超のダイオキシン類を▽2013年に8・7ナノ㌘▽14年度5・2同▽15年度9・2同▽16年度4・4同▽17年度3・5同を測定していたことが明らかになった。

 基本構想策定委の小原委員長は「3(ナノ㌘)以上では燃やすことに限界が。塩分のある物を入れるとダイオキシンは増える。生ごみを入れ過ぎて燃やすことが最大の欠点で、一刻も早く対策を」。生ごみ分別収集の徹底、堆肥化リサイクルなど取り組みが不可欠と強調した。

 ほか、地下水分析では近隣公共施設設備からもサンプリング。施設の継続や移転受け入れ地区への〝振興交付金〟制度化。ごみ問題は「3町それぞれでも議論すべき」。「2、3年で結論を出して町外へ」など要望もあった。