鹿大、奄美市TNR事業支援

麻酔をかけたノラネコに手術する鹿大共同獣医学部の獣医師

「成果出るまで継続したい」
19年度最初の派遣 72匹に避妊・去勢手術

 鹿児島大学共同獣医学部は20日から21日にかけて、奄美市名瀬の奄美ノネコセンターでノラネコに避妊・去勢手術を施した。同市との包括連携協定により、今年度もTNR事業へ支援を継続。同大から獣医師などが派遣され、2日間で72匹に避妊・去勢手術が行われた。

 島内5市町村はノネコ(野生化した猫)の発生源対策として、ノラネコを捕獲して避妊・去勢手術を行い元の場所で放すTNR事業を実施。2018年度末までに、累計3251匹を手術。鹿大の奄美市TNR支援は、昨年度350匹の実績だった。

 同市と鹿大の包括連携協定は、06年3月に締結したもの。同協定に基づいて、同学部の獣医師2人と看護師1人を派遣し捕獲されたノラネコに不妊手術を実施する。

 手術には奄美ノネコセンターを利用。同大は来年3月までに8回の派遣を予定している。

 19年度1回目となる今回は、市内で捕獲したノラネコ72匹(雄38匹、雌34匹)に手術した。この日は前日に処置したノラネコの状態を確認するほか、市環境対策課職員が記録作業などを担当し、麻酔をかけられたノラネコが処置室に次から次へとひっきりなしに運び込まれ、獣医師たちにより手術を受けた。

 手術を受けたノラネコは、目印に片耳に切り込みが入れられる。手術後は安静に休ませて、捕獲場所で放されるという。

 同学部の藤木誠准教授(49)は、昨年度のTNR事業支援に2回参加したという。「今回はノラネコが多く捕獲されており、手術数が延びた。市内にはノラネコはまだまだいるようなので、TNRで成果が出るまで奄美市への支援を続けていきたい」と話した。