両陛下に「与論十五夜踊り」披露

両陛下に「与論十五夜踊り」披露

平成最後の与論十五夜踊りで出番を待つ基さん=19日、与論町地主神社=

平成から令和へ 「新しい時代も踊り続ける」
保存会メンバー・基さん

 【沖永良部】2017年11月17日、与論島を訪問された天皇、皇后両陛下は、島で450年以上続く伝統芸能で国の重要無形民俗文化財「与論十五夜踊り」を鑑賞された。披露したのは、保存会のメンバー17人。基俊文さん(66)=同町城=もその一人だ。

 与論十五夜踊りは、室町時代の1561年に作られ、同町城集落と朝戸集落の住民が中心となり踊り継いできた。踊り手は原則世襲制だが、集落の先輩らに入会を勧められた基さんは、19年前に世襲外から初めて保存会に入った。

 「跡を継がない人が時代とともに多くなり、後継者不足が問題となっていた。子どもの頃から見ていた十五夜踊りを、自分が踊ることになるとは思わなかった」と話す。

 高校から島を出て鹿児島で生活し、21歳で上京。32歳の時、長男が小学校に入学するのを機に家族を連れて地元にUターンした。現在は牛を飼いながら、年3回の豊年祭で十五夜踊りを奉納している。

 2年前、同町地域福祉センターで十五夜踊りをご覧になった天皇陛下は、基さんに「伝統文化を守っていくのは大変ですね。頑張ってください」と声を掛けられたという。

 「有難い言葉だった。あの体験は一生の宝」と振り返る。

 さらに、忘れられないアクシデントも起きた。衣装の花笠に興味を持った皇后さまに、基さんは自分が着用していた笠を外して手渡そうとした。その時、笠に付いていた飾りの端が天皇陛下の顔に当たってしまった。「周りの人がざわついた」そうだ。

 今月19日、平成最後の十五夜踊りが地主(とこぬし)神社であった。狂言の要素を取り入れた1番組と琉球風の舞踊が特徴の2番組が交互に踊りを奉納した。

 1番組の基さんは「二十四孝(にじゅうしこう)」などの演目に出演した。豊年祭を終え「昭和は自分にとって激動で、平成は子育てで一生懸命だった。令和は自分をより高めていく時代にしたい。新しい時代になっても体力が続く限り踊り続けたい」と語った。