特定外来生物ツルヒヨドリ

奄美市笠利町の須野ダム周辺で侵入が確認された特定外来生物のツルヒヨドリの駆除作業(奄美群島国立公園管理事務所提供)

特定外来生物ツルヒヨドリ。南北アメリカ原産。侵略的外来種で、農作物に絡みついて枯らすなどの被害も。(奄美群島国立公園管理事務所提供)

手作業で150㌔駆除
18年度実績 環境省

 沖縄島中部一帯で繁茂し、やんばる地域などに短期間で分布を拡大し奄美大島にも侵入している特定外来生物のつる性植物ツルヒヨドリについて、環境省奄美群島国立公園管理事務所はこのほど、2018年度に島内で実施した防除事業の実績をまとめた。奄美市笠利町や宇検村で、ツルヒヨドリ約150㌔を駆除。同事務所は今年度も防除事業を継続し、先進地の事例を生かして新たな駆除方法の検討を行う考えだ。

 同種は北米と南米の熱帯地域が原産で、国内では1984年に沖縄県うるま市で発見。つるで絡みつき厚いやぶを形成しながら林冠を覆うように繁茂して、生態系に大きな被害を及ぼすことが懸念されている。

 早期発見と初期防除が重要とみた同事務所は、2016年度からツルヒヨドリの分布調査に着手。奄美市笠利町の須野ダム周辺や、同名瀬根瀬部~大和村国直間の県道沿いなどに群生を確認。17年度は分布調査と一部で試験的に駆除を実施していた。

 18年度は、須野ダム周辺と大和村今里~宇検村宇検の県道沿いに確認されている同種の群落を駆除した。須野ダム周辺では10、11月の2日間延べ15人が作業して45㍑入りゴミ袋87袋分を回収。大和村今里~宇検村宇検の県道沿いでは10月の2日間に、延べ19人が作業してゴミ袋43袋分を駆除した。

 手作業で引き抜かれた同種は、合わせて130袋約150㌔。散らばらないよう袋に入れた状態で枯死させて焼却したという。

 同事務所は「19年度も事業を継続して須野ダム周辺や宇検村の県道沿いで駆除しながら、昨年駆除に入った地点でまた生えていないかなど経過観察を行う予定」と説明。早瀬穂奈実国立公園管理官は「未実施の9カ所は急斜面など作業が困難な場所。駆除に取り組んでいる八重山の事例を踏まえて、より効果のある駆除方法を検討したい」と話した。