名瀬港沖出し岸壁

名瀬港沖出し岸壁

国が整備を進める名瀬港の岸壁

 

老朽化が進み、新築移転が計画されている旅客ターミナルビル

 

21年度前半に整備完了
名瀬港旅客ターミナルビル移転新築へ
県、港湾関係者らの意見集約

 

 国土交通省九州整備局が整備を進めている奄美市の名瀬本港区岸壁の改良工事のうち、1バース(110㍍)について、2021年度上半期にも完成する見込みであることが分かった。岸壁の整備に伴い、県は老朽化している同港の旅客ターミナルビルの新築移転を計画しており、今後、岸壁を利用する船会社や荷役会社、観光関係者らとの協議を本格化させる方針だ。

 同港では、岸壁2バース(220㍍)の沖出し計画があり、2014年から現地での整備を進めている。現在、1バースについて、岸壁の基礎部分を海底地盤まで鋼管の支柱を打ち込む工事などが進められている。岸壁の整備が終了すれば、鹿児島―沖縄航路のフェリー接岸場所も替わるため、ターミナルビルも市街地側に移転することになる。

 新しいターミナルビルの具体的な建設計画などは決まっていないが、県港湾空港課は「旅客ターミナルビルの老朽化の問題もあり、今後、新たに建て替えることになる。国が進める岸壁の整備計画も踏まえながら、港湾利用者らと整備の在り方について協議を進めていきたい」としている。

 同課によると、現在のターミナルビルは1975年に完成、鉄筋コンクリート2階建てで、1階は荷役会社が貨物の保管などに利用、2階は旅客待合所として利用している。しかし、完成から約45年が経過、老朽化が指摘されているほか、荷役会社などから、フェリーの大型化や貨物量の増加などによる荷役スペースの手狭さなどが指摘されているという。

 同整備局名瀬出張所によると、新岸壁が完成すれば、沖出しによって荷役スペースが現在よりも、約1㌶広くなるという。荷役会社などで組織する名瀬港運協会の金井顕三郎事務局長は「荷役スペースが狭いと作業の安全確保が難しくなり、作業効率にも影響する。フェリーの出入港の限られた時間で、貨物の積み下ろしをするのは大変。岸壁の整備と同時にターミナルビルなどの陸上施設など、名瀬港全体の整備を一体的に進めてほしい」と要望している。