梅雨時期に「毛嵐」

前夜からの放射冷却で最低気温が大幅に下がり「毛嵐」が見られた龍郷湾(西康範さん撮影、30日午前5時27分)

奄美地方 最低気温4月上旬並みに

 梅雨入りして約半月が経過した30日、奄美地方の最低気温は4月上旬並みまで下がるところもあった。前夜からの好天で放射冷却が強まり、内陸側に入り込んだ奄美大島北部の龍郷湾では「毛嵐=けあらし=」が確認された。奄美市名瀬の西康範さんが毛嵐の撮影に成功。西さんは「梅雨時に見るのは初めて。前の晩に気温が下がったので撮影を思いついた」などと話した。

 気嵐は、大気の温度より海水の温度が高い時に、海面から蒸発した水蒸気が大気によって急激に冷やされることで起きる蒸気霧の一種。秋や冬など放射冷却によって冷え込みが厳しくなった早朝などに多く見られ、気温の上昇とともに姿を消す。

 名瀬測候所によると、30日の笠利の最低気温は午前5時21分に観測された16度。前日の午前5時20~30分は21度を超えていたので、一日で大幅に気温が低下したことになる。

 29日夜の奄美地方は東シナ海に高気圧があり、そこからの北風が入り込んで好天で目立った雲もなく放射冷却が強まり、翌30日の早朝は冷え込んだという。こうした天候も段々と下り坂で、6月1日以降は梅雨空が戻る見込み。

 海面から沸き立つような毛嵐が見られたのは、龍郷湾の奥にあり国道が走る「浦の橋立」脇の一帯。徐々に明け行く湾内に幻想的な光景が広がっていた。