協定に基づく車両進入規制

利用に関する協定に基づき三京林道のゲート施錠が行われた

三京林道 希少野生動植物の保護強化

 【徳之島】鹿児島県森林管理署(林野庁)は1日、天城町の三京岳国有林の三京林道入口のゲート施錠を実施した。同管理署徳之島森林事務所は、ゲート施錠を希少野生動植物の保護と林道内の交通事故防止の車両進入規制などのためとしている。3月に同管理署と天城町、徳之島エコツアーガイド連絡協議会の3者で締結した協定に基づく措置で、ゲート施錠は剥岳林道に続き2カ所目となる。

 三京林道の一帯は2013年3月、森林生態系保護地域に指定。世界自然遺産推薦区域にも含まれ、原則として人為を排除し自然の推移に委ねる管理を行うという。

 ゲート設置は、盗掘・盗採を防止することで希少野生動植物の保護・保全を進めたり、林道の路面保護や利用する車両増大が引き起こす林道内の交通事故等を防ぐ目的。林道の延長は約3・2㌔㍍。林道入口部に幅4㍍、高さ約1・7㍍のゲートを5月中旬ごろに設置し、この日関係者が立ち会い、同事務所の宮川貴之首席森林官の手により施錠された。

 ゲート施錠による車両の通行規制は、一般車両が対象。学術目的や教育活動などの利用は、事前に同事務所に入林届の手続きをすることなどで利用できる。また野生生物の観察希望者は、徳之島エコツアーガイド連絡協議会の実施するツアーに参加することで林道内に入れるという。

 今回のゲート施錠は、管理署、町、ガイド協の3者協定によるもので、剥岳林道では16年12月にゲートを設置し施錠している。同事務所の宮川首席森林官は、「国有林は国民の宝。今後も島民を中心に守っていきたい。希少動植物の盗掘・盗採が増えているが、そのような行為は絶対にしないでもらいたい」「施錠については、島民の理解と協力をお願いしたい」などと話した。

 環境省徳之島管理官事務所の沢登良馬国立公園管理官は、「三京林道は利用者が増大して、今後アマミノクロウサギやその他の希少野生動物のロードキルの可能性が高まる懸念があった。事前に利用ルール決めて、車両規制するのは良いこと。地元や林野庁などと連携し、しっかりとした利用ルールをつくっていきたい」と語った。

 徳之島地区自然保護協議会の政武文会長は、「徳之島の遺産推薦区域の面積は小さい。多くの人が来ると、破壊されかねない。登録前の対応で、保護と活用につながっていくのでないか」と話した。