伊仙町シンポ

長寿・子宝を育む「伊仙町のあたりまえ」に焦点を当てたシンポジウム(円内は右・尾辻氏、左・松田氏)=17日、伊仙町

徳之島のあたりまえ「人のエネルギーと熱量」も
CCRCに「逆参勤交代」提唱も

 【徳之島】長寿と子宝のまち・伊仙町主催のシンポジウム「なぜ注目されるの!?徳之島のあたりまえ!~これからの生活・住居・福祉の変化と関わり方~」が16日、同町ほーらい館であった。尾辻秀久参院議員(元厚生労働相)と、政府が進める生涯活躍のまち」(日本版CCRC)構想者の1人・松田智生三菱総合研究所主任研究員が基調講演。離島版CCRC的なUターン起業志向者らの発表とパネル討議も交え、地域創生と離島福祉の方向性を考えた。

 町内外から満員の約320人が来場。開会行事で大久保明町長は「島のあたりまえ」が国や研究機関・各メディアなどの注目を集める中、「障がい者も高齢者も、全ての町民が役割を持つ住民参加型のまちづくりへ」。中村かおり県副知事(厚生労働省出身)は「首長の強い思いや、誰かがやってくれるのではなく『自分たちが主役』となって動く事も重要なポイント」と期待して、三反園訓知事の祝辞を代読した。

 第1部の基調講演(これからの地域創生と福祉)で尾辻氏は、2期連続で合計特殊出生率が日本一(2・81)、百歳以上高齢者の比率も高い「長寿と子宝のまち」としての取り組みが、内閣府のCCRC「生涯活躍のまち」の地域再生計画制度対象(全国21自治体)に選定されたことも高く評価。日本国史上で例のない人口減少社会へのシフト、少子高齢化対策が避けられないなか、「伊仙町の取り組みは全国的に注目が集まっている」とも強調。

 三菱総研の松田氏の演題は「先進事例にみる福祉の未来」。シルバー社会を「錆(さ)びない、輝きを失わない、プラチナ社会」に定義づける「3つの安心」①カラダの安心(健康支援・介護支援)②オカネの安心(生活・教育・介護コスト)③ココロの安心(生きがい・つながり)。また、国内外のCCRC先進事例も交え、都市部社員の期間限定リモートワーク(サテライトオフィス)や第2の古里づくりに「逆参勤交代で人の流れを創る」手法もアドバイス。

 そして、「徳之島のあたりまえ」では、①人の優しさ②子ども優先の社会③牛と共存④満点の星空⑤食事の美味しさ、安さ⑥満員電車なし・渋滞なし⑦歴史文化―に加えてずばり、「人の生きるエネルギーと熱量」と強調した。

 第2部(離島での福祉の取り組みと今後の展開)では、住宅型有料老人ホームを計画する幸林德光さん(伊仙出身)、障がい者就労支援センターなどを計画する榮時弘さん(面縄同)、障がい者雇用のドラッグストア誘致を進める本田守さん(伊仙同)、作業療法士として障がい児通所支援事業やメディカルサポートなどを推進中の芳村潔政さん(木之香同)がそれぞれ動機や目標などを発表。

 パネルディスカッションのまとめで尾辻氏は「伊仙町は(CCRCで)全国21自治体にも選ばれ、全国的に高い評価を受けており、今後も素晴らしい取り組みを」と評価。一方で、町民男性の糖尿病予防など課題解決も呼び掛けた。