自生地で「ウケユリ」咲く

西康範さんが撮影した「ウケユリ」

奄美大島南部
純白の花、野山彩り

 梅雨明けも間近と見られる奄美地方は、最高気温30度超えの「真夏日」となる日も珍しくなくなってきた。七十二候では「菖蒲華=あやめはなさく=」とされるが、奄美大島では涼やかな「ウケユリ」の純白の花が野山を彩る姿が見られる。

 山下弘さん著の『奄美の絶滅危惧植物』によると、ウケユリはユリ科で▽奄美大島▽加計呂麻島▽請島▽与路島▽徳之島―の固有種。山地尾根の岩場や渓流沿いの苔むした崖地に生える多年草。茎は高さ1~1・5㍍。6月ごろにはラッパ状で、純白(内部は緑色を帯びる)の花を咲かせる。

 森林伐採や園芸採取、道路工事などにより絶滅の危険性が非常に高い希少種。環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類に分類されている。

 今年5月下旬には奄美大島南部の山中で、盗掘されたとみられる事案が発生。2017年6月には同島山中で切り株を残し球根だけが持ち去られる被害もあった。盗掘被害は近年減少傾向にあるというが、同島5市町村で作る奄美大島自然保護協会は平日を中心にパトロールを続けている。

 奄美市名瀬の西康範さんは27日、同島南部の山中で大輪のウケユリを撮影。毎年同じ場所で撮影するという西さんは「晴れ間が出たので急いで車を走らせた。今年はもう終わりかけだった」と話した。