林道「山クビリ線」 延長12㌔に施錠

徳之島町林道「山クビリ線」(延長約12㌔)の入口ゲートの施錠に立ち会った関係者=1日、同町山側

県や徳之島町、入り口ゲート3カ所
ガイド同行(有料)義務化

 【徳之島】徳之島町は、世界自然遺産登録後の観光客など増加を見据えた自然環境の保全、質の高い自然体験の提供など徳之島利用適正化連絡会(県主催)の協議にも沿って1日、町北部の林道「山クビリ線」の入口ゲート3カ所に施錠。車両・徒歩を含む無届けの進入をシャットアウト。観光利用には昼夜を問わず認定エコツアーガイド(有料)の同行を義務づけた。

 同島北部の天城岳(533㍍)など中腹の同町山(さん)~花徳~轟木間の林道「山クビリ線」(全長約12㌔)。区間の一部には、アマミノクロウサギをはじめとする希少動植物が生息分布するコアゾーン、奄美群島国立公園指定域も包含。アウトドア派の島民には気軽に大自然や雄大な眺望が楽しめる行楽コースの1つ。一方では、希少種の交通事故や盗掘・盗採も指摘されてきた。

 県や地元徳之島町など関係機関・団体で構成する同島利用適正化連絡会の協議に基づき、主要入口の3カ所にゲートを設置。今年4月からは、▽夜間の野生生物観察=①徳之島町条例で許可を受けた奄美群島認定エコツアーガイドが行うツアーへの参加(有料)が必要②認定ガイド1人当たりの車両は1台(利用者10人まで)③1日当たりの利用台数は夏期3台、冬期4台まで。▽研究や教育目的=町への事前申請(徳之島町農林水産課)が必要―などを試行してきた。

 1日正午すぎの山側入口の施錠には県環境部自然保護課(奄美自然遺産登録推進室)や徳之島町など関係機関のほか、地元から3集落区長や共有林組合長らが立ち会った。だが、入口ゲート南京錠の鍵を預かることになった各区長や共有林組合長らと一般住民の間に、趣旨の説明や理解不足などを巡って、軋れきを生じていたことが〝抗議〟によって表面化。全集落民に呼び掛けた行政側説明会を開くことを条件に、計画通りの施錠には同意。無届け利用とその範囲などに関する同意が消化不良状態のまま〝見切り発車〟感が否めないものとなった。

 ちなみに、世界自然遺産への自然保護目的などを理由に入口ゲートに施錠、無届けの一般利用がシャットアウト(要・エコツアーガイド同行)された同島内の林道や国有林管理道路は、「剥(はげ)岳林道」約2・3㌔(天城町)、「三京林道」約3・1㌔(同)を含め計約17・4㌔(与名間林道除く)に及んでいる。