伊是名の会、30周年記念公演

通し稽古に参加した「伊是名の会」スタッフたち

第30回定期公演の案内ポスター

通し稽古で自らも踊る原口さん

人間と自然の関わり表現
「琉美創舞」15日中野区で 叙情的、情感的に舞台展開

 【東京】今月15日に舞踊集団「伊是名の会」の第30回定期公演が、中野区のなかのZERO大ホールで行われる。同会は神が宿る故郷の踊り「琉美創舞」と題して、琉球の旋律にのせて叙情的に、そして情熱的に舞台を展開、伝承や新作を重ねてきた。精力的に会を主宰し、舞台の構成・振付に余念がない原口このみさんに30周年の意気込みと今回の作品の話題を聞いた。

 話を聞いたのは「伊是名の会」の本拠地・瑞穂町に近い「フレッシュランド西多摩」。温泉とスポーツ施設が整備されている体育館で通し稽古を行う日だった。

 稽古会場に4人の赤ちゃんが揃い、あちこちで泣き声とあやす声が混ざる中、原口さんも孫を抱きながらの指導。それを「伊是名の会」スタッフたちが温かく見守っていた。今後の会の存続になんの不安もない多くの後継者たちの登場に原口さん含めスタッフたちも目を細める。

 今回の舞台も、壮大で自然とともにある暮らしと、人間を取り巻く自然との関わりをテーマに神がかり的なものを含めて構成・演出。舞台テーマは、40億年前から地球には多種多様な命が誕生し、それらはみんなで支えあってきたが、人類は自分たちの生活圏を増やすために森林などを切り開いたことで、森などにすむ動植物はすみかを失い、絶滅の危惧が後を絶たない。人間が行う自然破壊などで生態系のバランスは崩れ、世界各地で起こっている異常気象や温暖化などに危機感を禁じえないというのが趣旨。

 今回はそれらの思いを舞台で伝えるために、昔から歌い継がれている動物や植物を歌う沖縄民謡から拾い集める作業を開始。さらに新作にはこれまでに発表してきた作品をリメイクしたもので振付を創作してきたという。

 今年も同会には馴染みの「なかのZERO大ホール」での公演。大きく成長した「伊是名の会」の4歳から63歳までの総勢50人が舞台に集う。昨年はギリシャ公演後の発表後で奄美を含む全国各地からファンが集結、満員御礼となった。

 「続けてきたら30回・・・一年、一年また一年」とこれまでの長い定期公演を振り返る間もない。いろんな想いがあるだろうが全く気負いがない原口さんは、「皆さん、ぜひ、楽しみに観にきてくださいね」と頭をたれた。

 また、「伊是名友の会」の喜入寛治会長も稽古を見守り、「毎年、新しく作品作りしている。ぜひ、足を運んでください。今年は30回記念公演です。伊是名のチーム力とエンターテインメントなステージを楽しみに観てください」とPRにいそしむ。

 公演は15日、「なかのZERO大ホール」。開場午後4時。開演同5時。S席5千円、A席4千円。全席指定。残席については電話042―556―9337「伊是名の会」まで。