ツマジロクサヨトウ

「ツマジロクサヨトウ」幼虫(農林水産省ホームページより)

サトウキビほ場確認されず
徳之島でも確認は飼料用トウモロコシほ場で

南九州市の飼料用トウモロコシのほ場(農場)で、国内で初めて発生が確認された害虫「ツマジロクサヨトウ」について農林水産省は9日、鹿屋市で説明会を開き、8日現在、県内16市町の計53カ所で発生を確認したことを明らかにした。徳之島町と伊仙町でも確認されたが、いずれも飼料用トウモロコシほ場で、サトウキビの調査ほ場からは確認されていない。同省はまん延防止へ県内での対策を緊急的に実施する。

ツマジロクサヨトウは北米、南米原産のガの一種で、今年に入って中国や台湾、韓国でも確認された。早ければ30日程度で卵から成虫になる。幼虫がトウモロコシやイネなど80種以上の植物に寄生し、葉や茎、果実を食い荒らす。奄美群島の基幹作物・サトウキビも寄主植物に含まれている。

同省によると、国と県が6月29日以降、県内で調査を進めており、8日までに調査できたほ場306カ所のうち、鹿屋市や指宿市、日置市、西之表市、徳之島2町などの飼料用トウモロコシとスイートコーンのほ場で発生を確認。同様の調査は長崎、沖縄両県でも始まっており、他の都道府県でも体制が整い次第、順次調査を始めるという。

対策として緊急的に実施するのは、発生状況の把握のほか、▽効果のある農薬による防除の推進=専門家の意見を聴取し、主要な作物ごとにツマジロクサヨトウの薬剤防除に使用できる農薬一覧を作成、農家に速やかに情報提供▽防除支援=防除マニュアルを策定するまでの間、植物防疫所等の指導に基づき追加的な防除を行う際に必要となる薬剤購入費等支援▽防除体系の確立に向けた調査・研究推進=生態や防除技術に関する調査・研究を植物防疫所で緊急に実施。作物ごとの防除マニュアルを順次策定―がある。

防除では早期発見が重要となる。同省消費・安全局植物防疫課は「疑わしい虫を見つけた場合は、都道府県病害虫防除所または植物防疫所まで連絡をお願いしたい」と呼び掛けている。

なお、初期のまん延防止のための防除に関係する事業では粗飼料確保緊急対策事業、国内初発生病害虫の初期まん延防止緊急対策事業があり、2分の1を上限に補助する。

サトウキビ食害防止(防除)で使用を呼び掛けている薬剤名は次の通り。

クロラントラニリプロール・ジノテフラン水和剤、クロラントラニリプロール水和剤、フィプロニル粒剤