奄振審議会

18年度の振興開発施策を報告し意見を交わした奄美群島振興開発審議会=霞が関国土政策局会議室

水産物流通支援の効果報告
奄振基金 経営担う関係を構築

 【東京】奄美群島振興開発審議会(会長・大川澄人ANAホールディングス㈱常勤顧問)は12日、霞が関の中央合同庁舎で第113回会議を開いた。2018年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策の報告があり、大きな効果のある事業や、事業に対する意見などが交わされた。

 この日は、大川会長はじめ伊集院幼大島郡町村会会長、本部玲子女性農業グループ「スマイル」代表ら委員7人が出席。国土交通省の坂根工博国土政策局長が、「世界自然遺産登録への取り組みを行い、課題について率直な意見をいただき未来に向けて考えていきたい」とあいさつ。各委員にはテーブル上に初めてタブレットPCが用意されての報告となったが、委員から戸惑いの声もあり、今後も紙ベースでの対応が行われることも確認された。

 報告の中で委員から、市場が沖縄本島に限られる「水産物流通支援事業」と、鹿児島県本土との格差是正のための「奄美群島農林水産物輸送コスト支援事業」の違いを問われた伊集院委員は、奄美の産業の観点から、「水産物流通支援実証事業」は大きな効果をもたらしており、「食文化が本土とは違う沖縄と奄美との連携で実施している。需要がある沖縄との交流を含めた事業は今後もメニューに盛り込んで欲しい」と話した。

 また、欠席した三反園訓県知事のあいさつが代読され「地元の事業者と連携して物資の支援や航路航空運賃などの低廉化、特定事業への人材育成など、民間と一緒に達成していきたい。奄美の振興開発への支援と支持をお願いし、奄美の自立的発展に務めたい」とした。

 奄美群島振興開発基金について国交省は、融資先は奄美に事業所を持つところと説明。減っている建設業総生産については技術水準の低下にならないかの問いに、「トンネル以外の災害対応やインフラなど老朽対策含め、技術水準の維持に努めたい」と語り、同基金ではコンサルタント・コーディネーターとして一緒に経営を担う関係を構築したいとした。

 その他、海洋世界遺産ロード構築事業の報告に「人数が増えていない」ことや、鹿児島銀行が創設した「よかど鹿児島」は与論島でキャッシュレス化が進んでおり、「奄美の他の島も遅れをとらないように」などの意見が出た。

 国交省は「ハードソフト含め意見を一体となってやっていきたい」とした。