環境省、請島で研修会

地元住民など対象の研修会で自然環境保全の機運醸成が図られた(提供写真)

住民と共同で希少種保全
夜間パトロール活動を継続

 環境省奄美群島国立公園管理事務所はこのほど、瀬戸内町請島の池地集落公民館で住民向けに自然に関する研修会を開いた。夜間のパトロール事業に携わる自然保護団体会員や、住民などが外部講師の講演で、請島の希少種などの知識を学び自然保護活動の機運醸成が図られた。

 請島は国立公園で、ウケジママルバネクワガタやウケユリなどの希少種が生息、生育する貴重な自然環境を有する。同省は今月から請島大山地域で夜間パトロール(巡視)して、希少種の盗掘・盗採防止や希少種の生息状況、外来種の監視などを行う。希少種保全パトロール事業は、ウケユリの保全活動などに取り組む「みのり会」が昨年度に続いて受託して実施する。

 研修会の講師を、東京大学医科学研究所の服部正策特任研究員が務めた。地元住民や町教委職員など約30人が参加し、「請島の自然」と題した講演や質疑応答で、同島に生息・生育する希少動植物の情報や外来種などを知り、同島の自然に対する理解を深めた。

 同事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「請島の自然は、地元の人がこれまで守ってきた宝で、世界に誇れる貴重な動植物が生息・生育している。密猟者の情報や外来種の確認など、住民の監視の目が重要になる。請島の自然を今後も住民と一緒に将来にわたって守っていきたい」と語った。

 みのり会の益岡一富会長は「大山地域の入山許可を取らないで、現地に入っている人も何度か目撃している。入り口にあたる審査を少し厳しくして、パトロールなどで貴重な請島の自然の保護を図りたい。保護するために住民と一体となって、守っていければ」と話した。