染色家・植田正輝さん個展

染色家・植田正輝さん個展

◎色鮮やか、島素材の自然彩色

色鮮やか、島素材の自然彩色
染糸100点、作品40点など展示

 奄美市笠利町の染色家・植田正輝さんの大島紬染め物作品を集めた個展が、同市名瀬港町の結の島大島支部のギャラリーで開かれている。紬の伝統的な染め物の技をベースに、奄美の植物や土、貝類などを原材料に鮮やかな色合いに染め上げ、自然彩色の空間を展開。植田さんは「島の自然にこんなに豊かな色合いがある。みんなに知ってほしい」と多くの来場を呼び掛けている。入場無料。8月12日まで。

 植田さんは1969年・18歳から大島紬の泥染めを始め、染色歴は45年。国家資格の染色技能士で、これまで多くの個展で作品を披露してきた。

 こだわりは、花木や土だけでなく、海藻や貝など、あらゆる島の自然素材を使った染色。名越左源太著『南島雑話』などを基に再現を試みるなど、長年、染めを基本にものづくりに携わってきた。

 「紬というと暗いイメージを持つが、昔から色鮮やかな織物はたくさんあった」と糸を眺める植田さん。「自然素材は思い通りの色に仕上がらないところが面白い」と自然素材染色の特徴を話した。

 個展では、ハゼの木、イヌビワ、赤土やカイムラサキなど、島の素材で染めた染糸100種類超を展示。世界的ブランドとコラボした衣服や国内大手メーカーに生地を提供したカーテンなど、品質を語る作品約40点も並んだ。

 今後は、生地だけでなく、インテリアなどプロダクトにも挑戦したいという植田さん。「島の素材の豊かさを世界に伝えていきたい」と力強く語った。

 時間は、午前10時~午後5時(21日は休館)。問い合わせは、同支部電話0997―58―8170まで。