「ローテーション散水」へ

スプリンクラーの「ローテーション散水」期間に入った奄美市笠利町のサトウキビほ場

スプリンクラー設置、節田地区にも拡大
須野ダム管理土地改良区

 奄美地方は梅雨明け以降、晴天が続いている。笠利半島の東海岸(奄美市笠利町)はサトウキビが作付けされ農業が盛んだが、降雨が少ない時期に必要な農業用水は須野ダムによって供給されている。スプリンクラーによる散水を安定的に行うため今月から「ローテーション散水」が行われており、受益地区内での農業用水活用は今後、節田地区まで拡大する見通しだ。

 同町にある須野ダムの有効貯水量は95万㌧。この水を利用して農業生産に役立てることができる受益面積は約340㌶。管理する奄美市土地改良区によると、梅雨時期の雨量にも恵まれダム貯水量は百%の状態にあり、農業用水としての供給に問題はないという。ただし夏場は台風時を除く少雨傾向が続くだけに、農作物への散水に支障が出る干ばつ被害を回避するため、土地改良区では今月から9月末までの3カ月間を「ローテーション散水」期間に設定している。

 対象なのはサトウキビ、畜産用飼料作物、果樹を作付けしている農家。▽スプリンクラーを使っての散水を週に1回輪番制(月曜日は○○地区など散水できる地区を曜日で指定し持ち回り)▽散水量は10㌃当たり25㌧が上限▽散水できる時間帯は午前6時から午後9時まで―という取り決め。キビが作付けされたほ場などには、スプリンクラー用の散水栓がある。この散水栓には曜日や散水量が記載されており、これに基づいた散水を土地改良区は呼び掛けている。須野ダムからの一日当たり取水量は1万㌧を設定しており、これを順守すれば少雨が続いても3カ月間の散水量を確保できるという。

 なお、ハウスで夏野菜などを栽培している農家はスプリンクラーによる「ローテーション散水」の対象外。それでも必要量を念頭に置いた「適度な量の散水」を周知、無駄な使用がないよう理解を図っている。

 須野ダムの水利用は、パイプラインなどを整備する畑地かんがい事業によって可能となる。整備による散水のためのスプリンクラー設置は笠利東部1期地区で進められており、土地改良区によると、大笠利~用集落間は終了。現在、節田・土浜・平集落内で設置中、2年後にも終了する見通しだ。これにより受益面積内でのスプリンクラー設置が完了する。