ミカンコミバエ誘殺続く

果実の熟期を迎えるグアバ。ミカンコミバエの寄生防止のためにも適切な管理が重要だ

ミカンコミバエの成虫(資料写真)

「初動対応安心も常に関心を」
好適寄主植物・グアバの適切管理呼び掛け

 果実・果菜類の害虫ミカンコミバエは、今年も誘殺が続いているが、生産者代表からは関係行政機関による「初動対応がしっかりしており安心」とする一方、誘殺数が少なくても油断せず常に関心を呼び掛ける指摘が出ている。ミカンコミバエが特に好む「好適寄主植物」の一つにグアバ(バンジロウ)があるが、誘殺確認地域での状況から着果している樹木の適切な管理が求められている。

 県経営技術課の発表によると、今年度に入っての奄美群島でのミカンコミバエ誘殺は、まず6月20日に与路島(瀬戸内町)で1匹確認(トラップ調査で)。7月に入ってからは5日に奄美市名瀬根瀬部、6日に徳之島町山でいずれも1匹ずつ計3匹見つかった。19日には宇検村宇検で1匹、21日は加計呂麻島実久(瀬戸内町)で1匹、約13㌔離れた同島勝能で2匹確認された。計7匹(全て雄)となっている。

 昨年も今年同様6~7月に瀬戸内町や天城町で計7匹確認されたが、一時的な飛来(飛び込み)にとどまり、定着、発生はなかった。2015年には奄美大島などで発生が確認され、緊急防除による移動制限でタンカンなどの特産果実を島外に出荷できない事態に直面し、大打撃となった。

 生産者代表であるJAあまみ大島事業本部果樹専門部会の大海昌平部会長は「今年に入り現在までの誘殺も発生周辺国から風に乗って飛来する飛び込みとみられているが、危機意識を持ち、新聞報道などを通して公開されている誘殺情報を注視していきたい」と述べると同時に、国・県・市町村の関係機関による初動対応(トラップ増設、寄主植物調査・除去、テックス板での防除)を評価。「休み返上でテックス板設置を行うこともあり、関係機関の徹底した取り組みには頭が下がるほど。初動対応がしっかりしており安心感があるが、農家としては油断せず常に関心を持ち必要な対応をしていきたい」と語る。大海部会長によると、ミカンコミバエへの関心から撮影した写真を持ち込み、確認を求める農家もいるという。

 今年の誘殺で確認数・箇所が多いのが瀬戸内町。同町農林課によると現在、マンゴーの出荷期だが、研修などの際に影響など関心を寄せる農家が出ている。担当者は「発生ではなく、出荷に支障が出る移動制限が行われることはない。ただ、これからグアバの果実が熟する時期を迎えるだけに、グアバの適切な管理を改めて呼び掛けていきたい」と指摘する。誘殺確認箇所で寄主植物の調査を行った際、果実を食しない「不要な果実」として伐採等に取り組んだ箇所で再びグアバの果実の着果を見かけたという。「2年くらい実が着いていなかったのに、今年になって復活している。寄生を防ぐためにも、不要なものは伐採を」(町農林課)。誘殺数が増加した15年には、グアバの果実の中に幼虫がいる寄生果が確認されただけに、理解を求めている。