英国で泥染め体験イベント

英国で泥染め体験イベント

英国人参加者らに泥染めをレクチャーする金井さん(提供写真)

「島の文化として伝えたい」
龍郷町金井工芸 大学・博物館でレクチャー

 龍郷町戸口の染色工房㈲金井工芸はこのほど、英国の大学や博物館で泥染めの体験イベントを行った。講師を務めた同社の金井志人さんは「国内とは違う視点を得ることができたので、今後の作品作りに生かしたい。今後も島の文化としての染めを上手く伝えていきたい」と語った。

 イベントは、同社でのインターンシップ経験がある英国人で元紬美人のリントン・シャーロットさんから依頼を受けて行ったもの。同社の海外でのワークショップは2017年2月にオランダで開催して以来、2回目となった。

 講師として立ったのは金井さんと、同社従業員の師玉明代さん、シャーロットさんの3人が登壇。大島紬や泥染めの歴史・特徴をレクチャーした後は、実際に泥染めを体験。泥やテーチ木などの材料は奄美から船便を使って輸送したという。

 会場はシャーロットさんの母校「オックスフォード大学」、現在シャーロットさんが在籍する芸術大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」、ロンドンの「ホーニマン博物館」の3カ所。ホーニマン博物館では一般向けに、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートではテキスタイル科の学生を対象とした特別授業という形で実施した。

 金井さんは「参加者の質問から考えさせられることがあるほど、探求心がすごかった」と振り返る。ワークショップでは自分で用意した布で作品づくりを始める参加者や、「地球温暖化が染めに与える影響や、それへの対策」などの高度な質問をする人もいたという。

 金井さんとともに講師を務めた師玉さんは「織物に詳しい人が多く驚いた。また、現地の水を使ったため、日本とは染めの反応が違い、勉強になった。今回のイベントを通して少しでも奄美に興味を持ってくれれば良い」と話した。