空の便にも影響 空港内に長蛇の列

滞在を短縮して帰り便のチケットを確保しようと、長蛇の列ができた(14日午前11時ごろ、奄美空港内)

観光客、滞在短縮や延泊検討
ホテル、レンタカー予約キャンセルも  台風10号

 きょう15日にも西日本に上陸する恐れがある大型の台風10号。奄美地方北部に接近した影響から、14日は奄美群島の空の上り便で欠航となった。同日、奄美市笠利町の奄美空港では、滞在日程を短縮して帰路につこうと空席待ち手続きのためカウンターに並ぶ観光客が、朝早くから長蛇の列をつくった。

 6日の発生後、日本の南海上をゆっくりと北上した10号は、12日夜から13日未明にかけ、奄美地方を風速15㍍の強風域に巻き込みながら西よりに北上。気象庁によると、15日には西日本を縦断する見通しだ。

 台風が奄美地方の東海上を進んだ14日、奄美の空の便は一部の便を除いて、主に上り便に影響が出、11路線で38欠航(引き返し1便含む)、9遅延となった。

 15日に帰る予定の観光客の中には、14日で午前の便を押さえようと、奄美空港の営業開始時間前から入り口で待機するケースも。岐阜県に戻る女性(42)は「盆明けの仕事への影響を考え、1日早く帰ることにした。席が取れてよかった」と安堵の表情を見せた。

 一方、空席待ちで鹿児島行きの便を求め、早朝から並んだ50代の夫婦は「15・16日は満席と言われ、ホテルの延泊を検討。いつ帰ることが出来るかわからない」と話し、上司への事情説明に追われていた。

□     □

 14日、奄美大島の観光スポットや海水浴場は強風と高波に見舞われ、立ち入りが困難に。夏の観光シーズンが本格化している中、今回の台風接近に観光業界は「大きな痛手」と声を落とす。

 友人と観光目的で奄美大島に来島した東京都の太楽優一さん(29)は「マリンレジャーを楽しむ期間が短く、屋内中心の観光となった」と話し、「15日の帰京予定だが、(運航は)天候次第となっている」と不安を募らせた。

 台風による海・空の便欠航を受け、同島内のホテルやレンタカーの事業所には盆期間の来島予定者からキャンセルが相次ぐ。その半面、帰り便の欠航で滞在を延長した観光客が再び宿泊やレンタカー利用をする想定外の需要も現れた。

 島内のホテル関係者によると、利用客の延泊希望や駆け込み客の問い合わせが増えたという。ただ利用客を優先している状況で「空き部屋数は少なく、問い合わせに応えられることは少ないかも」(奄美市内のホテル関係者)。

 またレンタカー業界はキャンセル件数に対し、延泊客のレンタル利用1~2日の追加で相殺ベースと見る。ある担当者からは「車両は現在、フル回転状態。問い合わせ時の状況で対応している」とした。