徳之島町新庁舎 21年12月完成へ

徳之島町新庁舎 21年12月完成へ

「現在地」への徳之島町新庁舎建設基本計画案を町長に答申した同建設検討委メンバー(左)=2日、同町役場

建設検討委 「現在地建設」の基本計画案答申

【徳之島】徳之島町新庁舎建設検討委員会(委員長・幸野善治副町長、委員18人)は2日、現在地への新庁舎建設基本計画案を高岡秀規町長に答申した。住民説明会での各種要望は無反映だが、2020年7月の実施設計前の再住民説明会分と合わせ加味を検討する方針。建設事業費見込みは約16億円。同年12月に着工し21年12月完成を目指すという。

現庁舎本館(鉄筋コンクリート3階建て)は1973(昭和48)年度に建設。築後46年を経た老朽化・耐震性(震度6強クラスで倒壊・崩壊)の懸念に加え、臨海埋立て地区(海抜約4㍍)における津波対策も浮上。機能面でも、エレベーターが未設置で車いすの通路幅も確保されないなどバリアフリー未対応のまま。

このため同町は18年5月、町職員で新庁舎建設プロジェクト委員会を設置して今年2月に基本構想を作成。同月に町内の各種団体代表や学識者、町議、町職員などで新庁舎建設検討委を設置して6回検討。7月下旬には町内3地区で住民説明会も。今回、同構想を踏まえ新庁舎実現への具体的な整備手法など基本計画案の答申となった。

建設地を巡っては、東日本大震災の津波被害を教訓に「高台移転」を求める根強い意見も。パブリックコメント(意見公募)にみる「利便性」や「津波避難ビル機能を備えた庁舎」の観点も含め、基本計画検討委の全会一致で「現在地建設を決定」(町当局)したという。

新庁舎建設の基本理念は「住民との協動により将来にわたって持続可能な人と環境にやさしい『まちづくりの拠点』の整備」。基本方針には利用しやすい機能面のほか、「防災・減災の拠点となる災害に強い庁舎」「機能性・効率性を重視し経済的な庁舎」も掲げた。

新庁舎は1階部分を津波対策でピロティー形式(柱主体)とする鉄筋コンクリート造の地上4、5階建て(施工面積約3700平方㍍)。建設財源は、庁舎整備基金(現在高約3億円)と国の津波浸水想定区域移転事業による「緊急防災・減災事業債」(20年度末まで着工が条件)を想定、近く県との折衝に入るという。

主なタイムスケジュールは、▽近く設計を発注(プロポーザル)して20年3月末までに基本設計▽同4~6月に住民説明会▽同7~11月に実施設計、地区消防組合訓練塔解体▽同12月~21年12月に建設工事▽22年1~3月に移転、現庁舎解体、外構工事を計画。

基本計画案は、検討委の町田進委員(町文化協会長・文化財保護審議会長)らが役場を訪れ高岡町長に手渡し答申。同町長は「現在地(建設)で賛同が得られ一安心している。高齢化や子育て支援なども加味して利便性の高い庁舎を造りたい」などと話した。