夏の夢探しin首都圏~徳之島町・中高生の初インターンシップを追う~ ①

サイバーエージェントグループの㈱CA Tech KidsのAbemaTVのスタジオ説明を聞く生徒たち=8月19日、Abema Towers内で

 

オープンスタジオ前で興奮気味に画面を見入る生徒たち

 
「体験はグローバル人間育む」

 

 【東京】徳之島町教育委員会社会教育課は、町内の中高生が望ましい勤労観や豊かな職業観を育み、就職するための進路について広く理解を求める目的で、首都圏での職場体験や神奈川県青少年との交流、国際情勢学習、予備校体験などのインターンシップ教育事業を8月19日から同24日(5泊6日)まで行った。奄美群島でも初めての画期的な企画の開発から、10人の生徒たちが夏の夢探しを行ったハードでナイスな研修の様子を追った。

 この事業は将来の重要な町の人材として大きな夢に向かい、挑戦して夢の実現に向け努力する子どもを育成するのが目的。同町の「ふるさと納税」の「ふるさと思いやり基金」を活用した。同課の作城奈己係長が中心になり昨年から企画したもの。

 作城係長は横浜出身で、徳之島町で結婚して3人の子どもを育てて働く母親だ。都会の発想で「島の子に何が足りないのか?職業訓練を学ぶチャンスがなさすぎる」と同事業を町に提案したところ、高岡秀規町長はもろ手をあげて賛成。「教育が大事。社会人になる過程でいろんな人と出会って学ぶことも大事で、都会に出てまた、町に戻り、町のために貢献できるような人材になって欲しい。体験はグローバルな人間を育む」と即決した。

 作城係長は、小学生のITプログラミング教育でも指導を仰いでいる㈱CA Tech Kidsへの研修要望も交渉するほどの営業力を見せたという。

 研修に同行した茂岡勇次課長も「町も子どもへの教育にふるさと納税を使うことは、未来の人材つくりのために大切と認識している。都会から来て住んでいる作城さんでないとできない企画」と語る。

 作城係長は今年2月から企業などへの交渉を始めたが、教育委員会では受け付けられず、「学校単位や、教諭が申込みをしてほしい」などと却下されたところもあったという。

 つてを頼ったところもあるが、まず研修プログラムができているところをあたった。子どもが興味のあるテレビ局は外せない。そこでテレビアニメ「逆転裁判」などを我が子と見て、面白いと考えて検察庁をあちこちあたったものの、教育研修を行っているのは千葉地方検察庁だけだった。

 研修先は、神奈川県横浜市、都内、千葉県千葉市の3地域。予備校や塾では科学的教育グループSEGと代々木ゼミナール、国際情勢学習ではJICA横浜、職場体験は㈱CA Tech Kids、野毛山動物園、カンロ㈱、㈱テレビ東京、ソニーミュージックエンタテインメント、千葉地方検察庁が決まった。

 ところが学校を通して募集をかけても10人の生徒が集まらなかった。参加費は5泊6日でわずか1万5千円。「集まらないのには驚いた」(作城さん)。

 盛りだくさんのハードなスケジュールのためか、都会への興味がないのか?茂岡課長たちにも協力してもらいジュニアリーダー中心に亀津中2人、井ノ川中1人、徳之島高校6人、樟南第二高校1人の生徒がようやく決定した。

 10人は19日、上京。羽田空港からモノレールや電車を乗り継いで、島より幾分か涼しくなった渋谷区のNHKホールにほど近いAbema Towersに午後2時過ぎに到着。スーツケースを抱えたまま疲れた表情の生徒たちに合流した。
                                           (永二優子)