県建設業協奄美支部 防除学び実際に引き抜き作業

県建設業協奄美支部 防除学び実際に引き抜き作業

外来種の駆除法などについて講話した東京大学医科学研究所の服部正策特任研究員

 

 

現地でのり面に繁茂する特定外来生物ツルヒヨドリの駆除を行った
 
 
外来種駆除 継続活動に意欲
環境に配慮した事業実践へ

 

 県建設業協会奄美支部(村上慎一郎支部長)は9日、奄美市名瀬小浜町の奄美建設会館などで県大島支庁や市土木課、同プロジェクト推進課などの協力で、外来種駆除の勉強会と野外での特定外来生物「ツルヒヨドリ」の駆除活動を行った。勉強会で参加者は環境省や大学の研究者に外来種の防除法の指導を受け、実際に同種が繁茂している市道で抜き残しがないように手で引き抜く駆除活動を実施した。

 これまで支部会員などが単独で外来種を駆除してきているが、現場で外来種を見ることが多い同支部会員の環境に配慮した事業に役立てるよう、初めて勉強会と駆除活動を計画したという。

 この日の活動に同支部会員と支庁職員、市職員など約50人が参加。建設会館では環境省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官と早瀬穂奈実国立公園管理官、東京大学医科学研究所の服部正策特任研究員が、奄美大島で確認されている外来種の種類や駆除法などをスライド資料で説明した。

 千葉さんは外来種防除について、草刈り作業では実施方法や時期に関し植物に詳しい専門家の判断を受けるようアドバイス。「繁殖力が強い外来植物では、根や茎が一部でも残るとすぐに復活したり、他の場所に飛散するなどして駆除するつもりが、逆に広げてしまうことになる。きめ細かく丁寧な駆除と処分まで適切に行うことが極めて重要」と強調した。

 服部さんはボタンウキクサやアメリカハマグルマの影響など紹介。「特定外来生物のツルヒヨドリは、1分で1マイル広がると言われる。世界的に問題となっている植物。早急に対応しなければならない」と呼び掛けた。

 早瀬さんは、奄美大島の10カ所でツルヒヨドリの侵入を確認し同省が2カ所で防除に入っていることを報告。「大半が急傾斜なのり面に繁茂しており、安全に作業できる場所が限られている。特に実施が難しい箇所について、今回協会のみなさんに技術的協力をいただくことができ大変心強い。奄美大島では手で引き抜く作業で駆除したい」と話した。

 説明の後に質疑があり、参加会員から「外来生物法に違反するとはどういう場合か」「現場で特定外来種があった場合、事業はストップになるのか」などの質問があった。事業に関する質問に対し、千葉さんは「まずは早急に現場で状況を確認させていただきたい。その後、状況にもよるが、みなさんにも協力いただきながら駆除を行っていきたい」と理解を求めた。県大島支庁担当者は参加会員に「外来種かどうか判別できない植物など発見した時は、大島支庁に連絡して対応を相談してほしい」と呼び掛けた。

 続いて同市名瀬平田町の市道平田朝戸線(旧国道58号)に移動。現場はがけ崩れ後に防護ネットが施工されたのり面で、市環境対策課のパトロール員が半年ほど前にツルヒヨドリの群生を確認していた。

 参加者は環境省職員などから実物を見せてもらい、のり面に繁茂する同種を駆除。高所作業車を用いて、手が届きにくい箇所の引き抜きも行われた。

 同支部の岩本正事務局長は官・産・学連携の駆除活動について「今後も外来種の駆除に継続的に取り組んでいきたい。この取り組みが広まっていけば」と話した。