県立大島病院大規模災害訓練

県立大島病院大規模災害訓練

陸自隊員と医師・看護師らが連携し、患者の移送作業を行うなどした

迅速な対応、連携確認
陸自含め約220人参加

 奄美市名瀬の県立大島病院(石神純也院長)は12日、同院で2019年度大規模災害訓練を実施した。今回は陸上自衛隊奄美警備隊員15人・患者役を含め総勢約220人が参加。大地震の発生を想定し、トリアージや処置・治療などの迅速な対応を実践。院内各課・関係機関の連携や情報共有を確認した。

 同院は奄美群島内で唯一の災害拠点病院。大規模災害発生時には傷病者の積極的な受け入れや、他医療機関との連携、円滑な医療の提供が求められる。このため「救急の日」(9月9日)にちなみ、毎年9月に同様の訓練を実施している。

 この日は奄美大島近海を震源とする最大震度7の地震が発生し、傷病者47人を受け入れる必要がある事態を想定し実施。模擬患者役は奄美看護福祉専門学校と奄美高校の学生・生徒らが務めた。

 地震発生後、院内被害等を確認し、ロビーに災害対策本部を設置。収容可能人数などを確認し、石神院長が患者の受け入れを宣言した。その後、病院の玄関で続々と訪れる患者らを、処置の緊急度によって色分けされたタグをつけるトリアージを実施。症状の重い患者は簡易ベッドや車いすで院内に運び込まれた。

 また陸自奄美警備隊衛生班は患者を他医療機関に搬送する作業を実践。4人搬送できる陸自所有の救急車に次々と患者を運び込むなどした。

 同院救急救命センターの原純センター長は「昨年と比べ、災害対策本部への情報が入ってきやすく、本部としては成長が見られ満足。自衛隊との訓練も初めてにしてはスムーズにいった。今回はDMAT(災害派遣医療チーム)も参加したが、その役割を病院に残った人に担ってもらうようにすることが今後の目標」とした。

 患者役として参加し、自衛隊の救急車にも乗車した奄美看護福祉専門学校看護学科2年の碇山希来里さんは「奄美でも起こり得る豪雨災害などの際の被害者を減らすためにもこういった訓練は大切。医師や看護師が声掛けをしてくれるので、精神的な安心感があり良かった」と振り返った。