徳之島町・中高生の初インターンシップを追う ⑥

模擬裁判の中で被告人が質問を受ける場面

裁判官役の2人は法服を着用して準備

装備品を実際に着用したり腕にはめたりする体験も

 

模擬裁判に公判傍聴も
千葉地検・千葉地裁

 

 【東京】いよいよ研修は最終日23日に突入。司法の現場なんてどんなところか、ドキドキだ。中高生たちはまず千葉地方検察庁(千葉地検)へ移動した。検察広報官の永江勝典さんから検察業務について説明を受けた。日本の玄関口・成田国際空港があることから事件の受理件数が累計で日本一になったこともあるそうだ。2018年だけでも4万7820件だったという。

 千葉地検では検察官と検察事務官合わせて約390人が働いている。警察が検察庁に事件を引き継ぎ(送致)、送致を受けることを「受理」といい、警察で捜査した事件はすべて検察庁に引き継がなければならないという。

 検察官は受理した事件や自分で見つけた事件・事故を調べて、犯人だと疑われている人(容疑者)が本当に犯人かどうか、法律に違反して犯罪を行ったのかどうか、証拠に基づいて判断し、裁判にかけるかどうかを決めていく仕事を行う人で、起訴・不起訴を決められるのは検察だけの仕事だ。

 検察と警察の共通する業務と違う点は▽捜査する(両方)▽逮捕する(両方)▽起訴・不起訴を決める(検察のみ)▽裁判で、求刑を行う(検察のみ)▽手錠を持つ(両方)▽拳銃を持つ(警察のみ)。

 また、検察官の種類には検事と副検事の2種類が存在する。検事になるには司法試験に合格した後、司法研修所で学び検事や弁護士、裁判官になる進路を選ぶことができる。

 一方副検事は、検察事務官などの公務員などを何年も働いた後、副検事になる試験に合格すればなれるという。裁判員制度についても説明が行われた。この制度は国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度。ともに刑事裁判に立ち会い、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合、どのような刑にするかを判断する制度で20歳以上の選挙権ある人から選ばれる。

 この後は、地下階にあるテレビによく出てくる取調室を見学。会議室に戻って模擬裁判が開かれた。中高生たちは、裁判長、弁護人、検察官、証人、被告人のそれぞれの役になって、コンビニ強盗致傷事件をシナリオ通りに演じた。

 たとえば①裁判官・裁判員入。起立、礼を検察庁職員が言う②開廷・人定質問③起訴状朗読④黙秘権の告知、被告人、弁護人の陳述など被告人の最終陳述、結審まで約1時間、慣れない裁判シナリオに四苦八苦する場面もあったが、ルビがふってあったので、セリフを言うのはOKだった。

 午後は隣接する千葉地方裁判所へ。法廷見学と公判傍聴。静かな裁判所の法廷内に響く声。初体験の公判傍聴。模擬裁判をした後だったことで、ドキドキしながらも「被告人質問に裁判長の声が優しく響いたね」と話す中高生たちの声も。

 再び、千葉地検に戻り、検察官の装備品の警棒の使い方、防弾チョッキの着用、そして軽くなったという手錠を実際にはめたりする体験を行ったが、手錠がはずれない場面も。朝9時半から午後3時までの中身の濃い充実した体験だった。

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 徳之島町初のインターンシップ。3人の中高生から感想が届いた。(省略文)

 櫻木慎也君(徳之島高校1年)今回は島で体験することのできないことをたくさん学ぶことができた。特に千葉地検。司法でどんな仕事をしているのか全く分からず、身近に感じることができなかったが、実際に話を聞いたり見学して多くのことを知った。まためったに傍聴することのない、公判傍聴ができてよかった。研修はハードスケジュールだったが、プログラムはすべて充実していて、いい体験だった。

 ここで学んだことをこれからの進路や将来に生かしたり、ジュニアリーダーなどで地域に貢献したい。この事業を続けて多くの子どもたちがたくさんのことを学び、島に貢献して島を盛り上げていけたらいいと思う。

 名城志乃さん(亀津中3年)進路について視野を広げるために参加した。サイバーエージェントグループでは実際にアプリの製作に携わっている人に話を聞いたり、社内の各部署を見学した。

 同世代の青少年との交流、テレビ東京、ソニーミュージックなどでも多くのことを学んだ。島では、学んだことをたくさんの人に伝えなければと思った。

 大勝彩香さん(徳之島高校2年)最初は楽しみでわくわくしていたが、実際に東京に着くと、人の多さや建物の大きさにびっくり。会社訪問では貴重な体験や会社の裏側を見せてもらった。また、神奈川の青少年の人たちとの交流では、お互いの住んでいる所の紹介をし、コミュニケーション能力もついた。島ではできないことをたくさんできて財産だと思った。学んだことを将来いかせるように頑張りたい。          (おわり)