稲作行事ユーモラスに演じる

稲作行事ユーモラスに演じる

行事の幕開け「綱切り」。鎌を持ったシシが鎌で綱を切り、歓声が上がった

女性らにより華やかに披露された「稲すり」

「十五夜の日」に県重要無形民俗文化財「油井豊年踊り」瀬戸内町
公民館落成式典も兼ね

 旧暦の8月15日「十五夜の日」にあたる13日、瀬戸内町油井集落(内田百一=もいち=区長、31世帯51人)の豊年祭・敬老会が同集落であった。稲作行事をユーモラスに芸能化した「油井の豊年踊り」(県指定重要無形民俗文化財)が披露された。また、今年はこのほど完成した油井公民館の落成式も兼ねて行われ、集落活動の拠点の新設を喜んだ。

 豊年踊りはその年の稲作を終え、豊作を感謝すると同時に来年の豊穣を祈願する同集落の伝統行事。集落内で収穫された稲わらでできた綱引きから始まり、、稲作の諸作業を芸能化したものを田んぼに見立てた土俵上で披露する。長い歴史を持ち、同町を代表する民俗芸能の一つに数えられる。

 この日は開始直前に大雨が降ったが、何とか天候は回復。幕開けとなる綱切りでは微笑みを浮かべる紙面をつけた役者と、異形の「シシ」が登場。力士や多くの集落住民が握る綱をシシが切断。歓声を浴びながら力士らが綱を結びなおし、切る作業を三度繰り返した。切られた綱は広場の中央に運び込まれ、土俵に使われた。

 その後、女性らが脱穀する様子を演じる「稲すり」、力士のひじを臼に見立てて力強く舞う「米つき」などの演目を披露。無言劇「ヒゲフッシュ」や寸劇「玉露カナ」などでは、役者らがコミカルな動きで会場を盛り上げた。内田区長は「行事は集落の誇りだが、高齢化が進み、油井出身で古仁屋在住の若者が来ることでやっと行事ができる状態。新たな公民館に地域活性化に向けた役割も期待している」と話した。

 綱切りと振り出しの間に行われた公民館の落成記念式で鎌田愛人町長は「豊年踊りの継承、地域コミュニティの造成、防災拠点として施設が有効に使われることを願う。瀬戸内の素晴らしい文化を地域とともに次の世代につないでいくことが大切」とあいさつした。

 新公民館は2018年度辺地総合整備事業で整備。延べ床面積は132・35平方㍍。総事業費は7045万9千円。18年10月~今年5月15日までを施工期間とした。