徳之島町下久志「十五夜浜」

十五夜祭り「サンシキ」の下で繰り広げられた親睦の宴=14日午後8時ごろ、徳之島町下久志


伝統の「ハンタ石(力石)」(約90㌔)挑戦も

伝統「十五夜祭り」
名物の「サンシキ」で親睦の宴

 【徳之島】徳之島町下久志集落(浜睦男区長、61世帯・125人)の伝統行事「十五夜祭り」が13、14日の連夜、同地の通称・十五夜浜であった。青年層の奮起で今年も延長約80㍍におよぶ茅葺(かやぶ)き小屋「サンシキ」を仮設。交流の宴とともに新生児の健やかな成長を祈る「ミイバマクマシ(新浜踏ませ)」や、「ハンタ石(力石)」の力自慢、伝統芸能などを楽しみながら親睦を深めた。

 下久志集落の「十五夜祭り」は、数百年の伝統を誇る一大伝統行事。十五夜当日(13日)は〝前夜祭〟的に、住民や出身者たちで集い中秋の名月の下で交流。今年は徳之島で民宿第1号となった「民宿ときわ屋、遊学リゾート・きむきゅら」の開業50周年謝恩の演芸ショーでも楽しませた。

 そして、「ナーチャ(翌日)十五夜」とも呼ばれる〝本祭〟の十六夜(いざよい)(14日)は、集落外の友人・知人らも広く招待して盛大に開くのが習わし。今年も住民の倍近い約250人が参加。涼やかな茅葺きに、ノスタルジックで温かみのある裸電球の明かりが揺らめくサンシキの下で酒こうを交し、交流を深めた。

 十五夜浜の土俵上では、新生児たちの健やかな成長を祈る「ミイバマクマシ」土俵入りの披露も。丸みを帯びたハンタ石(約70㌔、90㌔の2個)を肩に担ぎ挙げる「力石」には力自慢の若者らが挑戦し、90㌔の達成はお預けに。中秋の名月の下、青年相撲も楽しみ、伝統芸能「あったら七月」「下久志キョーダラ」踊りでも絆の輪を広げた。

 少子高齢・過疎化に歯止めが掛からない現状にあるが、今年も十五夜祭りを青年・壮年層が下支えした。青年団長の東郷貞徳さん(35)によると、サンシキは軽トラック約20台分相当のススキが必要で、力を合わせて約10日前から集落内外で刈り集め乾燥させるなど準備。「自生ものが少なく最も苦労しました」。住民たちの笑顔に、「団員や住民の皆さんのご協力で伝統の維持、地域の活性化に協力できてうれしい。青年の力で、今後も集落を盛り上げていきます」と話した。