未就学児・高齢運転者の交通安全緊急対策

未就学児・高齢運転者の交通安全緊急対策

政府による「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」の提言を受けて鹿児島県も取り組みを進めている(奄美市内に設置されている子どもの交通安全のための「ゾーン30」)

点検結果受け積極推進
学校では安全マップづくり 危険予測し行動へ
市町村教委に対し要請も

 子どもが犠牲となる事故、高齢運転者による事故が全国的に相次いで発生している中、政府は「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」をまとめた。この提言を受けて鹿児島県でも取り組みが進められており、9月末までに行われる予定の緊急安全点検の結果に基づいた対策のほか、学校教育では校区内の安全マップづくりを通して危険を予測し、安全に行動できる能力を子どもたちに身に付けさせている。

 今年6月の関係閣僚会議で打ち出した交通安全緊急対策では、▽未就学児を中心に子どもが日常的に集団で移動する経路の安全確保(緊急安全点検の実施、道路交通安全環境の整備推進、地域ぐるみで子どもを見守るための対策等)▽高齢者の安全運転を支える対策のさらなる推進(安全運転サポート車の普及推進、運転に不安を覚える高齢者等の支援、高齢運転者に優しい道路環境の構築)▽高齢者の移動を伴う日常生活を支える施策の充実(公共交通機関の柔軟な活用、制度の垣根を越えた地域における輸送サービスの充実、自動運転技術等新たな技術を活用した新しい移動手段の実用化)―などを掲げている。

 政府が決定した緊急対策を受けての鹿児島県の取り組みについては、開会中の9月定例県議会代表質問で取り上げられた。子どもの交通安全対策に関する答弁で県警本部の大塚尚本部長は、「県警察としてはこれまで登下校時間帯を中心に交通指導取締りのほか、スクールゾーン等通学路に対する適切な交通規制など子どもの安全な通行の確保などに取り組んでいる」と述べるとともに、緊急対策に伴う取り組みを説明。

 それによると、緊急安全点検の結果を受けて横断歩道の設置や速度規制の見直しなど対応可能なものは年度内に着手。さらに調整が必要なものは継続的に取り組んでいく。ほかにも通学路における信号機の新設、歩車分離式信号機の改良、「ゾーン30」(区域(ゾーン)を定めて時速30㌔の速度規制を実施)の整備など「子どもの交通安全対策に積極的に取り組む」(大塚県警本部長)方針だ。

 また、高齢者の安全運転を支援する取り組みでは、今回の緊急対策を受けて▽アクセルとブレーキの踏み間違い事故を防止するための安全運転サポート車の普及啓発▽運転免許の自主返納者に対する支援策の拡大―など地域関係機関に働きかけを行い、高齢者の安全運転を支える取り組みを推進していく。

 子どもの安全対策では学校での取り組みを東條広光教育長が答弁した。それによると各学校では児童生徒に対し、校区内の安全マップづくりなどを通じ身の回りの危険箇所を認識させるなど、さまざまな状況や場面で危険を予測しながら安全に行動できるよう育成している。また、交通安全教育により正しい横断歩道の渡り方の指導、スクールガードなどボランティアの協力を得て子どもたちの見守り活動が行われている。

 緊急対策決定を受けて県教委では、市町村教委に対し▽幼稚園児の園外活動時の危険箇所▽生徒の登下校時のスクールバス停留所―などの安全点検を行い、安全対策を講ずるよう要請している。