喜界早町小 石垣修復を体験

児童はサンゴ石垣の修復作業を体験した

「サンゴを活用した文化を残そう」
一つ一つ丁寧に積み上げ

 地域に残る伝統文化を学ぼうと喜界町の早町小学校(下屋敷由貴子校長、児童64人)は12日、同町塩道集落内にあるサンゴでつくられた石垣の修復作業を体験した。同校の5年生児童とその保護者など約20人が参加。石垣の積み方や使われているサンゴの種類などについて説明を受けた。

 修復作業は同町、喜界島サンゴ礁科学研究所(渡邊剛理事長)、WWFジャパンの共同プロジェクトによるもの。児童らは総合学習の一環で体験授業を行った。

 現場は昨年の台風で崩れた集落民家の石垣。高さ約2㍍、幅5~6㍍の範囲で修復作業を実施した。

 地域の専門家によると、長期間安定させるため石材のかみ合わせや大きさの選定がポイント。石垣の成形のコツは外側に大きな石を積み上げ、内部に小さな石を詰め込むという。児童は指導を受けながら、サンゴを選び、一つ一つ丁寧に積み上げた。

 山倉かんなさんは石垣に使うサンゴの種類がたくさんあることに注目。「表面の模様も違うので、考えながら石を積むのがおもしろい」と興味津々。作業に熱中した。

 作業を指導した同町湾の武田秀伸さん(62)は「子どもたちが島内に残る様式や文化について、関心を示してくれたらうれしい」と話した。

 児童を前に主催団体の担当者が、サンゴを建築材として住居への塩害や防風対策で用いてきたことを解説。島民の生活に密接に関わってきたサンゴ文化の継承を訴えると、児童は真剣な表情で聞き入った。

 町内では、2018年度からサンゴ礁文化の伝統継承を目的に各機関が連携し、地域資源の掘り起こしに取り組む。渡邊理事長は石垣積み職人の高齢化や担い手不足などを懸念し、「喜界島らしい景観の大切さを伝えたい」と語った。