熱帯の海鳥「シラオネッタイチョウ」

けがを治し自然復帰を試みた熱帯の海鳥・シラオネッタイチョウ

羽づくろいが十分でなく羽が濡れた状態

海から飛べず再訓練へ
羽づくろい不十分で防水性不足か

 けがのため龍郷町で保護され、奄美市の動物病院で治療を受けていた熱帯の海鳥・シラオネッタイチョウの放鳥が30日早朝、龍郷町の番屋漁港で行われた。同鳥は何度も羽ばたいて自然に帰ろうと試みたが飛び立てず、回収され動物病院で再訓練されることとなった。治療を担当した獣医は海面から飛べない理由について、羽づくろいが不十分で羽の防水性不足のためではと推察。再訓練しても野生復帰が困難な場合は、動物園へ移管することも検討する予定。

 同鳥は先月24日、龍郷町秋名の県道で衰弱した状態で住民に発見され保護された。翌日に県大島支庁の職員が市内のゆいの島どうぶつ病院に搬入し、診察を受け左胸付近の骨折と判明し治療に入っていた。

 治療は骨折箇所をテーピングで固定し、抗生物質や消炎剤などを注射して経過を観察。流動食から餌のキビナゴを自分で食べられるようになり保護した時の体重約210㌘から、現在は240㌘ほどに増量。陸上ではロープをつけて約50㍍飛べるようになったことから、この日の放鳥を計画したという。

 獣医の手から静かに海面に放され、羽ばたきを始めるも徐々に羽が濡れて、羽ばたくのもやっとの状態で1時間ほど漂流。立ち会った環境省職員らと獣医は、この日の野生復帰は無理と判断して漁船で回収し同院で訓練を続け、海面から飛行できるかを探ることに。

 治療を担当した獣医は、「残念な結果だった。一般的に海鳥などは尾腺=びせん=から分泌される脂性物質を羽づくろいで、羽につけて防水性を高める。治療中は羽づくろいの様子は、あまり観察できなかった。大きな水を入れた水槽などで飼うようにして、羽づくろいできるかチェックし自然復帰を目指したい」と話した。