マンゴー生産技術向上研修会

台風による船便長期欠航などについても意見交換がなされた奄美地域マンゴー生産技術向上研修会

収穫期早める「少加温栽培」紹介
台風による船便欠航対策についても意見交換

 2019年度「奄美地域マンゴー生産技術向上研修会」(県園芸振興協議会主催)が7日、奄美市名瀬の県農業開発総合センター大島支場であった。奄美群島内のマンゴー生産農家らが集まり、生産課題への対応策について学習。各島・各ほ場で異なる課題について意見を交換した。また、同支場からはハウス内を加温することで、開花・収穫期を早める新作型「少加温栽培」が紹介された。

 研修会は生産上の課題などを情報共有・意見交換する目的で昨年度から開催。今回は、▽奄美大島▽加計呂麻島▽徳之島▽沖永良部島―からマンゴー農家のほか、JA・地元自治体関係者ら約70人が出席した。

 開会後、島ごとの生産課題について議論。栽培技術に関する課題が挙げられたほか、「出荷時期が台風襲来時と符合し、顧客のオーダーに対処できない場合がある」など、今夏の船便長期欠航についても触れられた。

 また農家らから「船便が止まって出荷できなかった場合の一番良い保存方法は」との質問が挙がり、別の農家が取り組みを紹介。「低温で湿度を一定に保ち、傷まない工夫を」との説明がなされた。このほか着花の遅れ、果皮障害の防止策等の質問が相次いだ。

 大島支場の坂上陽美研究専門員は少加温栽培について講話。2月下旬から5月上旬にかけ、ハウス内を加温することで、開花期・収穫期が約2週間早まる研究結果を紹介した。少加温栽培では糖度が高くなる傾向にあること以外は無加温と差異がないという。

 少加温出荷時期にあたる7月は、無加温出荷時期の8月に比べて台風等の影響が少なく、リスク分散による安定生産に期待ができる。このため、坂上専門員は「早めに出したい人にはメニューの一つとして考えてもらえれば」と提案した。

 このほか、着花安定に向けたせん定時期・着果管理などについての話もあった。きょう8日は同支場と同市笠利町のほ場で、せん定後の管理についての現地研修会が行われる。