黒糖焼酎廃液「有望資源」

黒糖焼酎の蒸留廃液のバイオマス資源としての有用性などが指摘された地域循環共生圏づくりの勉強会

バイオガス発酵スピード早く、収量多い
奄美市で勉強会

 家畜の糞尿や焼酎廃液などバイオマス資源を活用した地域循環共生圏づくりに向けた勉強会が15日、奄美市役所であった。バイオマスエネルギー(バイオガス)の普及を推進するバイオマスリサーチ㈱(本社・北海道帯広市)の菊池貞雄社長らが、黒糖焼酎の蒸留廃液など奄美大島の地域資源を利用したバイオマス活用の可能性などについて講演、発酵スピードが速く、糞尿と同等以上のバイオガスが生成された研究結果などを紹介、「焼酎蒸留廃液は、有望なバイオマス資源」と話し、奄美でのバイオマス活用の将来性を高く評価した。

 勉強会は、環境省の「地域循環共生圏プラットフォームづくり事業」の一環として同市が企画。地域内のバイオマス活用に向け官民が連携し可能性を探る取り組みで、農業関係者や焼酎製造会社、廃棄物処理業者、自治体の担当者ら約30人が出席した。

 同社は北海道を中心にバイオマスを活用したバイオガスプラントの整備など携わっており、勉強会では竹内良曜常務取締役が、これまでのバイオマス活用の具体例などを紹介。家畜糞尿をメタン発酵させることで、メタンガスを活用した発電や有機肥料の生成など多様な活用法を説明、糞尿による悪臭問題の解決や有機肥料による土壌改良など農業問題の改善にもつながっていることを報告。「地域にある有機廃棄物を活用することで、地域資源を再生、エネルギーを循環させる社会をつくることができる」などと話した。

 菊池社長は、奄美におけるバイオマス活用の可能性について講演し、黒糖焼酎蒸留廃液について、「発酵から7日間程度でメタン生成がピークに達しており、約40日間かかる糞尿などに比べ生成が速い。濃度も同等以上で1・5倍の収量も見込まれる」と、その有用性を高く評価した。

 また、「温暖な奄美ではより効率的なシステムが構築できる」などとし、バイオマスの活用により、▽農業生産力の向上▽環境の改善▽地球温暖化防止▽循環型社会の形成▽地域産業の活性化―などが図られると指摘した。

 出席者からは、島内の廃棄物資源でバイオマス事業が成り立つのかなどの質問があり、菊池社長は「生ごみなど様々な有機廃棄物が資源として活用できる。循環型社会を推進することで地域のブランド力を高めることもできる」などと話した。

 同市は今後も、バイオマス活用に向けた勉強会を実施する計画で、12月中旬に2回目を予定している。