防衛セミナー

南西諸島の防衛ラインの意義を講演する勝股さん

「南西の守りは、国の守り」
勝股さん(元読売新聞記者)が講演

 防衛省九州防衛局は17日、奄美市内の総合集宴会場で防衛問題セミナーを開いた。島しょ防衛をテーマに自衛隊関係者、研究者がそれぞれの立場で奄美群島を含む南西諸島での防衛態勢のあり方について講演した。

 同市と共催。同省は全国にある地方防衛局でセミナーを実施。開催数は年間20回程度としている。

 奄美初開催のセミナーは同市の打診を受け、実現。同局の住民を対象にした会合としては陸自部隊配備計画の説明会を市内で開催して以来3年ぶり。集まった市民約100人を前に、廣瀬律子局長は島しょ防衛の意義に触れ、「セミナーを通じて国防上の重要性、自衛隊と地域とのつながりについて考えるきっかけになれば」と語った。

 この日のテーマは「島しょ防衛を考える~新編 奄美警備隊の役割~」。今年、奄美大島島内に奄美駐屯地が開設したことを受け、日本大学危機管理学部教授の勝股秀通さんが「島を守ることとは…」を講話。軍事費を増強する中国に対する備えを呼び掛けた。

 元読売新聞記者で防衛問題を担当していた勝股さん。中国の圧倒的な軍事力で南シナ海が支配的となっている状況に触れながら、「予見し、回避のための抑止力」として南西諸島に壁をつくる防衛ラインの重要性をあらためて強調した。

 さらに勝股さんは自衛隊が警察と海保と連携した態勢づくりを挙げ、オールジャパンでの対処を提言。「国防の点からも南西諸島を守ることこそ、日本を守ることにつながる」と結んだ。

 平田浩二・奄美警備隊長は「奄美大島に所在する陸上自衛隊の概要」を講演。配備計画や開設後の勤務状況を説明した。質疑応答で迎撃ミサイルを配備する施設の必要性を問われ、脅威に対する防衛力維持の方針に理解を求めた。