シマ料理の名店が閉店

叶実統さんと広美さん夫婦を囲んで笑顔の常連たち

出身者が名残惜しむ
シマ唄披露、思い出話に花

 【東京】お疲れさま、そして、またよろしく・・・。港区新橋で長い間、奄美群島出身者や口の肥えたサラリーマンらに奄美の味わいを
提供してきた名店が、このほど閉店した。最終営業日間近には、徳之島出身者たちが大勢駆け付け名残を惜しんでいた。

 10月いっぱいで店を閉じたのは、新橋3丁目のとあるビル4階に店を構えていた「和ごころ・あまみ」。徳之島出身で千葉・市川在住の叶実統さんが代表を務め、妻の広美さんがかいがいしくサポート。産地直送の新鮮な魚介に、奄美の真心を込めて出される料理と黒糖焼酎は、来店者の胃袋を満たしてきた。

 その店が、突然のれんを下ろすことになり、「さよなら会」が催されたもの。当日は、出席者が名残を惜しむようにシマ唄を披露する中、駆け付けた常連らは、思い出話に花を咲かせていた。また、唄者・森田美咲さんも同店でのライブを懐かしむように歌い上げた。

 これまで、いろんな人たちが訪れている。「新極真会の緑健児代表もよく来てくれましたが、一番印象に残るのは、又吉直樹さんかな。急に来てびっくりしましたが、彼の気さくな振る舞いにも驚きましたね」と叶さんは振り返る。新橋で12年だが、叶さんの地元市川でも12年間やって来た。「実は、いい物件に偶然出合いましてね。ちょうど12年で、地元に戻ることに」と閉店の経緯を語った。

 一方「和ごころ・あまみ」では、禎一馬さん、あずままどかさんらも熱唱し、昨年は指宿桃子さんの送別会も開かれるなど、島出身のアーティストらの心のよりどころでもあった。「次の店でも、彼らの企画をできるよう考えようと思っています」(叶代表)という店は、JR市川駅南口駅から約5分の所に「キッチンあまみ」(0473・01・1180)として、叶夫妻を象徴するように11月22日(いい夫婦の日)にオープンする。