JACサーブ機 「27年間おぼらだれん」

徳之島ラストフライトとなったJACのサーブ機(写真上)と、記念撮影に興じる乗客ら関係者=1日、徳之島空港

退役チャーター飛行、群島を遊覧
徳之島空港では横断幕でねぎらう

 【徳之島】日本航空グループの日本エアコミューター(JAC、本社・霧島市溝辺町)が所有し奄美群島間などを結んできたターボプロップ機「SAAB(サーブ)340B型機」が近く完全退役するのに伴い1日、鹿児島空港発着の同退役チャーターフライトツアーがあった。航空ファンら36人が遊覧飛行で思い出を刻み、徳之島空港では地元関係者らが「おぼらだれん(ありがとう)、27年間お疲れ様」の横断幕でねぎらった。

 サーブ340B型機(席数36席)は1992(平成4)年、それまでの主力機の国産ターボプロップ機YS-11型機の後継機として当時の日本エアシステム(JAS)=その後JALグループに統合=が導入。スウェーデンの軍用機メーカー製でもおなじみのサーブ機はJALグループ最小の全長19・73㍍、短い滑走路でも離発着が可能。27年間、奄美の島々を結ぶ空の足となってきた。

 JACは、主力後継機となる仏ATR製ターボプロット機(ATR42-600型機・48席と、同72-600型・70席)への機材更新を年次的に推進。計画の計9機のうち8機は導入済み。納期が遅れている第9号機の納入で更新完了となるという(同社)。

 サーブ340B退役ツアー(JALパックとJAC主催)は、関連イベントを含め先月30日~1日にあった。募集定員30人に対し全国から120人が応募、抽選で絞り込んだ。1日目はJACの拠点・鹿児島空港で格納庫など施設の見学、パイロットや客室乗務員らとのトークショーで交流した。

 そして1日正午すぎにツアー客と航空関係メディアなど関係者含め36人を乗せたチャーター機が鹿児島航空を離陸。与論島や沖永良部島を遊覧後の午後2時すぎ徳之島空港に到着。駐機場では各町行政や観光連盟など関係者が横断幕を掲げて迎え、ツアー客らには黒糖・みそ豆・クッキーの小袋セットを贈った。

 岐阜県宇都宮市から参加していた会社員の荒川順一さん(53)と実紀江さん(53)夫妻は「仕事やプライベートを含め徳之島は3回目(実紀江さん2回目)。サーブ機のラストフライトということで参加。いたれり尽くせりのサービスに満足です」。午後5時すぎに鹿児島空港に戻った。

 JAC側(総務企画グループ)は、機材不足による欠航など利用者への影響回避のため、完全更新は残る第9号機の導入後になるとしている。