世界自然遺産シンポin徳之島

自然・環境学習の成果を発表した児童生徒たちと基調講演の2氏(右・星野氏、左・亘氏)=7日、徳之島町文化会館

「世界の宝」「奇跡の島」守ろう
基調講演や児童生徒発表も

 【徳之島】「世界自然遺産シンポジウムin徳之島~親子で考える世界自然遺産~」(県、徳之島地区自然保護協議会主催)が7日、徳之島町文化会館で開かれた。専門家の基調講演や児童生徒たちの自然体験・環境学習成果などの発表を通じ、世界的に希少な生物多様性を育む「奇跡の島」の価値観や外来種問題など課題の一端も共有し合った。

 来年夏の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に向けた普及啓発イベントの一環。児童生徒や保護者、地域住民など合わせ約350人が参加。亀津中吹奏楽部・徳之島高校音楽部・徳之島吹奏楽団による「もののけ姫」セレクション曲と、同島の大自然や希少種の数々やネコ問題など啓発動画によるオープニング演奏で開会した。

 県の大山浩昭・奄美世界自然遺産総括監は今秋のIUCN(国際自然保護連合)の再現地調査、来年6月末~7月当初に予定の世界遺産委員会審議に向けた啓発取り組みなどに触れながら、「世界自然遺産登録は、世界の宝である奄美の自然を、私たちは子孫代々守ると世界に約束することにもなる」と強調し協力を求めた。

 元県環境保護課長で日本の世界自然遺産第1号の屋久島の山岳地域保全、さらには環境省釧路自然環境事務所長として知床の登録にも貢献した鹿児島大学特任教授の星野一昭氏が「徳之島の宝~島の子どもと豊かな自然~」で基調講演。世界の宝への「奇跡の島」の価値を子どもたちにも分かりやすく解説し、「自然を好きになって楽しむ。島(シマ)の暮らしや伝統文化も知ろう。島の自然を大切に思って自分に出来る事をやろう」とアピールした。

 児童生徒の発表では▽樟南二高1年・原根楓さんが「誇りに思える島に~体験学習を通して~」▽天城小5年生たちが「奇跡の島 徳之島」▽花徳小3・4年生が「下田川の環境と生き物調べ」▽亀津小4年ろ組1班が「大瀬川のいろいろな生き物調べ」の成果をそれぞれ発表。

 アマミノクロウサギなど希少種の捕食被害など豊かな自然環境の裏側に横たわるイヌ・ネコの問題をはじめ交通事故、ごみの不法投棄、希少種の密猟盗採、外来植物への気づき。子どもの視点からも「住民一人一人が行動に移すことが大切」と訴えた。

 この後、17年前から奄美大島の外来種マングース問題を研究・対策に取り組んできた森林総合研究所主任研究員の亘悠哉氏が「みんなで残したい!徳之島の自然のすごいところ」で基調講演。アマミハナサギガエルなど巨体化やイボイモリ、ラン類、オキナワウラジロガシ大群落、渓谷のすごさ―なども挙げ、「世界最高レベルの自然を守るには住民の取り組みも大事」と重ねてアピールした。

 引き続き奄美大島出身の歌手・城南海(きずきみなみ)さんのミニコンサートを楽しんだ。