奄美地域「畑地かん・土地改良区」強化セミナー

効果の周知強化も課題に挙がった「奄美地域『畑地かんがい・土地改良区』基盤強化対策セミナーin伊仙町」=17日、同町ほーらい館

効果の「理解・周知」強化を
伊仙町で

 【徳之島】2019年度「奄美地域『畑地かんがい・土地改良区』基盤強化対策セミナーin伊仙町」がこのほど、同町ほーらい館であった。群島の土地改良区16団体や県市町村農政・団体の代表ら約70人が一堂に会し、徳之島用水農業水利事業後の畑かん営農の推進状況や課題、かん水効果に関する講演、各土地改良区の現状報告などで研さん。畑かん営農推進へ「かん水効果の理解促進、周知徹底の強化」もあらためて課題に上った。

 県土地改良事業団体連合会・奄美地域畑地かんがい・土地改良区対策センターが主催、同町会場は6年ぶり。冒頭、折田耕栄同センター長が次世代に向けた新しい農業・農村構築のための最重要事業「高生産性水利用農業」に不可欠な畑地かんがい対策や、同推進が急務となっていることなど概要を説明した。

 県大島支庁徳之島事務所農村整備課の「徳之島農業の取り組み(県営事業の整備状況)」によると、同3町の①畑地かんがい整備率と②ほ場整備率は、▽徳之島町①43・1%②77・8%▽天城町①26・1%②84・4%▽伊仙町①31・1%②81・4%。平均①34・1%②81・1%。ほ場の整備率については県営畑総や国営農地開発事業などの実施によって県や奄美群島全体の平均より高い。

 一方、畑地かんがいは、7つの県営造成ダムなどを水源とする約1千㌶の農地で整備済みだが、同島全体の整備率は県や群島全体よりも低い。「徳之島ダム」(総貯水量812万㌧)による国営徳之島用水農業水利事業(受益面積3451㌶)附帯の県営事業(支線水路・スプリンクラーなどほ場内畑かん施設)=工期91年度~24年度=についても、18年度末の整備率(散水可能率)は▽天城町22%▽徳之島町17%▽伊仙町11%。3町平均で17%のペース。

 同農業普及課側は、担い手の育成や生産性の高い産地づくりなど「畑かん営農ビジョン」の推進には、畑かん効果など「畑かんをいかに周知徹底させるかも課題」とあらためて指摘。県農業開発総合センター徳之島支場側が「サトウキビに対する夏季のかん水は梅雨明け直後から有効」「園芸品目における効果的な畑かんの利用」で講演。

 種子島地域に比べ降水量が一気に減る〝失われたピーク〟の7月初旬~8月中旬について「農家は損得勘定をして効果的なかん水を」。バレイショ(そうか病軽減効果も)やニンジン、サトイモ、グラジオラスなどについてもかん水・無かん水区の単収差データも例示して対策を促した。

 各土地改良区の現状報告では、施設機器の老朽化に伴う修理など維持管理、賦課基準の統一―なども課題に挙がった。