地元市場の青果物市況

30日まで行われる名瀬中央青果のセリ。昨年より安値傾向だが、正月料理用のツワブキは高値で取引されている(28日の市況)

安値傾向で消費者にお得感
年越料理用のツワブキなど高値も

 奄美市名瀬の地元市場・名瀬中央青果㈱(森山直樹社長)の年末の青果物市況は、災害の影響もあまりなく安定した供給などで安値傾向となっている。かんきつ類の新品種「津之輝」は品質が高く取扱量が前年より増えているが、まだ流通量が少ないことから高値をつけているという。また年越料理用のツワブキなどは、この時期特有の高値相場が続いている。

 昨年は気候変動による本土での自然災害などで、青果物産地に被害が出て全国的な青果物入荷量の減少と、名瀬中央青果の市況では野菜の高値を招いた。今年は一転して豪雨災害などの影響はあまりなく、島外からの野菜の入荷量は例年並みで安値で入って来ているという。

 島内産も台風被害や干ばつなどがなかったため、野菜の生産量も例年並みに回復。現在はダイコンやキャベツの地場産が多く入荷している。「昨年に比べると、野菜は安値で例年並みの入荷量。増税があったが、消費者にはお手頃感のある相場ではないか」(中央青果)。

 市況を見ると、キャベツのキロ当たり値段は平均115円。年越し料理「豚骨野菜(ウァンフィネヤセ)」用に欠かせないツワブキはキロ千円以上の値が付いている。28日の市況では高値1577円に。中央青果の担当者は「ツワブキの値が上がってくると、正月が近づいて来ているなと感じる」と説明した。

 かんきつ類では昨年は台風被害で入荷量が例年の約4分の1までに減少したポンカンは、生産量が回復。入荷も日によっては1㌧を超す日もあり、価格は年末の贈答用需要があり高い時期にもかかわらず、昨年の3割強となるキロ平均145円。新品種の「津之輝」は生産量が増え入荷量も増えているが、安定した品質で人気がありポンカンより高値のキロ600~700円台で推移しているという。担当者は「かんきつ類は、お歳暮需要で12月はクリスマス前まで高値で取引される。『津之輝』は技術がいるが、栽培管理を徹底すればさらなる高品質化で高値の取引が期待できる」と話した。