長寿子宝のまち産スッポン商品人気

スッポンの徳之島養殖場代表の中村さん(左)と、徳之島町で同料理提供している竹原さん=16日、伊仙町糸木名

加工食品は、伊仙町ふるさと納税返礼品の人気ナンバー1にも(同町提供)

伊仙町で養殖7年九州スッポン
新たな特産品に定着

 【徳之島】㈲九州スッポン(本社・福岡市西区)が伊仙町糸木名の中山間地に徳之島養殖場を設置して7年。消費・販路開拓の課題解決への模索が続く中、同町ふるさと納税の返礼品では「長寿・子宝のまち」で育てたスッポンと地場産物を組み合わせた「すっぽん卵黄にんにく」などレトルト商品にも人気がじわり集中。新たな特産品に定着しつつある。

 スッポンは古来より滋養強壮や漢方薬などとして親しまれ、最近ではコラーゲンやアミノ酸などの豊富さから美容面の機能性にも関心が高まっている。だが一方では「高級食材」としてイメージから一般消費者になじみが薄く、販路拡大が最大の課題となっているのが現状。

 「まず養殖場に糸木名の地に着目したのは千枚岩層から湧きだす豊かな水。長寿者は千枚岩層の水を飲んだ地域に多いとも言われる」と、話すのは九州スッポン取締役の中村達也さん(76)。中村さん(福岡市出身、鹿児島大学水産学部卒)は、ウナギ養殖と併せスッポン(ニホンスッポン)の養殖も手掛けて40年余になる専門家だ。

 本社を息子(社長)に任せて赴いた徳之島養殖場の規模は敷地面積が約2㌶、ビニールハウスの温室養殖池(25㍍×10㍍)が5棟、露地養殖池が8面。スッポンは水温が下がると底の砂の中で冬眠して成長も肉質も鈍るため、冬場でも水温25度以上の確保が必要。

 九州本土だと冬季はボイラー加温が必要だが、「徳之島はビニールハウスを2重にするだけで対応可能。電動の酸素供給も要らずエネルギーコストの削減もできる。作業もエサをやるだけで人手も掛からず、高齢者にも向いている」と中村さん。

 出荷サイズの約800㌘~1200㌘までに要する養殖期間は約1年半。人工ふ化させ平均5千匹を養殖。年間平均の出荷数は約3㌧(約3千匹)。ほとんどが生きたまま福岡市の本社に輸送後、全国に出荷される。

 そしてその一部は自社加工場で製品化。伊仙町ふるさと納税返礼用の「すっぽん卵黄にんにく」(2019年度人気ナンバー1)や「長寿・子宝の島~すっぽん料理三種詰め合わせ」、「日本の薬膳の代表!伊仙町産子宝スッポン鍋セット」などとして全国に発送している。

 中村さんは「返礼品としてPR販売をいただき助かります」と感謝し、「地元で要望があれば解体肉の予約販売に応じたい」(電話090‐4343‐7023)。

 徳之島町亀津の居酒屋「花月」(竹原力代表)ではスッポン鍋(1人前3千円)も提供している(予約制・電話090‐6755‐5325)。